2017.10.19 Thursday 23:17
体調を崩してから、ブログでの短歌の発表はお休みしていたのですが、短歌自体は、たまーに、ぽつぽつと作っていました。

今回は、これまでに作った短歌をちょっとだけ、ここに公開します。

まずは、秋になったので、この歌を。
すずやかな銀杏並木が黄水晶(シトリン)のしずくを散らすあきかぜの道

ツイッターで相互フォローしていた、あきかぜさんのお名前を短歌に詠み込んでみました。ツイッターで短歌を発表していたとき、ふぁぼしてもらえたのが嬉しかったので、お礼の気持ちを込めて。
この短歌、実際に作ったのは今年の4月頃だったんですが、秋になるのを待って公開することに。
イチョウの葉が色ずくのはもう少し先ですが、家の近くにも銀杏並木があるので、いずれ黄色に染まった並木道の写真を撮れたらいいなーと思ってます。


水に舞う瑞鳥の羽(はね)はろばろと来世を照らせ紫苑いろの灯(ひ)

折句のような形で、人名を詠み込んでみました。
以前、当ブログで実施した「短歌クイズ」のような読み方をしていただくと、とある方の名前が出てきます。


もう一首だけ。
背中には飛べないままの泣きそうな翼があった ここだけの呪詛

これも折句の形で、とある方の名前を詠み込んだ歌です。


こういう折句の短歌をサラサラーと作れたら、もしかしたら商売として成り立つのかなあ——などと考えないでもないのですが。

ただ、ハンドルネームでもペンネームでも実名でも、人の名前を短歌に詠み込むのは、多少なりともその人に対する親愛の情を抱いていなければイメージが湧いてこないので、量産はできそうにないんですよね。残念ながら。


ところで、人名を短歌に詠み込んだ例で思い出したのですが、こんな歌があります。
塚本邦雄の『新撰 小倉百人一首』の冒頭に掲げられた序歌です。

きらめくは歌の玉匣(たまはこ)眠る夜の海こそ千尋やすらはぬかも /塚本邦雄

文庫版の解説によると、この歌には、親しい編集者の箱根裕泰(はこね・ひろやす)氏の名前が詠み込まれているとのこと(「玉匣(たまはこ)眠る」に「はこね」、「千尋(ちひろ)やすらはぬかも」に「ひろやす」が隠されています)。

こんなふうに、人の名前を短歌に詠み込めるテクニックがあれば、表現の幅も広がりそうですね。私もいずれ、こういう短歌も作れるようになりたいなあ。

ところで、上に引いた歌の意味ですが、文庫版の解説には、〈古典和歌という「歌の玉手箱」の中から、夜も眠らずに、珠玉の和歌ばかりを百首選んだ、という自讃の歌〉と書いてあったんですけど……私は、そんなふうには読めなかったですよね。

私の解釈は、こんな感じです。
「きらきらした歌のたくさん詰まった宝箱が眠っている、深い深い夜の海。それを思い浮かべると、心がはやって気持ちが休まるときもない——」

実際、この『新撰 小倉百人一首』には、きらきらした和歌がたくさん詰まっていて、たまにページを開いては、うっとりしています。

話が前後しますが、この本の内容をさらっと説明しますと。
前衛短歌の巨人・塚本邦雄は、藤原定家が選んだといわれる「小倉百人一首」の歌を、「凡作ばかり」と一刀両断してるんです。
古典和歌にも造詣の深い塚本が、百人の作者一人一人にとって「これぞ真の代表作」という一首を選び直したのが、この『新撰 小倉百人一首』です。

この本を読んでいると、塚本邦雄に洗脳されて、百人一首の歌が本当に「凡作ばかり」に見えてくるから怖い。
旧かな旧漢字表記の美文調なので、読みやすくはないのですが、一度ハマると癖になります。

今回はこの辺で。

   




| ●月ノヒカリ● | 短歌 | comments(0) | trackbacks(0) |
2017.10.11 Wednesday 22:39
相変わらず腫瘍マーカーは上昇していて、癌の肝転移も大きくなっているらしく、不安は尽きない毎日です、が。
殺人的な酷暑も過ぎ去ったことだし、ぼちぼちブログの更新を再開します。

前々回のエントリに、「上っ面だけの言葉が嫌いだ」と書いたら、読者さんからのコメントで、その真逆の言葉があるよ、と教えていただきました。

昨年101歳で他界された、むのたけじ氏の「体重をかけた言葉」です。
むのたけじ氏は、戦時中、朝日新聞の従軍記者でしたが、敗戦後すぐ「負け戦を勝ち戦のように報じて国民を裏切ったけじめをつける」と新聞社を退社。秋田県で自ら「たいまつ」という新聞を発行し、「戦争絶滅」を訴え続けた人です。

むのたけじ氏の著書は未読だったので、さっそく『詞集 たいまつ』の1巻を手に取ってみました。
箴言のような短い文章が集められた本。まえがきにあった著者のポリシーは、「コトバに全体重をかける態度こそが大切」というもので。読む側としても襟を正して、一文ずつ、ゆっくり読むことにしました。

『詞集 たいまつ』1巻の中から、印象に残った言葉を幾つか、以下に引用してみます。

ふだんのくらしの言葉でいいあらわせば、一番わかりやすくて一番短い。それが一番簡単そうで一番むずかしい。
*     *     *

読書は第四の食事である。望ましい作法は、他の食事と同じである。暴飲暴食は精神に下痢をおこすだけである。一度に多量ではなく毎日欠かさず適量を摂取すると一番ためになる。
*     *     *

腐ったおとなに寛大である社会は、清純な子どもに対して必ず残酷である。
*     *     *

革命とは新しい尺度の創造運動である。それを在来の尺度で推測するから、わからなくなったり、おびえたりする。古い尺度は、それをどんなに神聖化しても新しい目盛りには合わない。
*     *     *

やたらに防腐剤を用いるな。古いものが腐りきらなければ、新しい芽は出てこない。腐るべきものが十分に腐らないと、毒がひろがる。古いものでも十分に腐ると、こやしになる。
*     *     *

洋服なら既製品でもぴったり合うことがあるが、思想と現実とのかかわり合いでは既製の寸法がぴったり合うことはない。現実は生きており、思想は原則であり、従って思想は生かして使わなければならぬ。どのような現実であれ、それは変化するもの・変化させ得るものとして受けとめるところに、思想の第一歩がある。

(むのたけじ『詞集 たいまつ I』より)

初版は1976年ですが、今も古びていない、歯ごたえのある、噛みごたえのある言葉です。

ある言葉が、誰かにとっての「たいまつ」になるとしたら、それは言葉を「書くこと」や「語ること」によって、ではない。
それを「生きること」によってのみ、言葉は「たいまつ」となり得るのだ。
——そんなメッセージが、足元から響いてくるような本でした。

上に引用した読書論のくだりは、速読・多読が要請される今の時代の趨勢には合わないかも。
でも振り返ってみると、自分にとって真に「血となり肉となった」本とは、一行ずつ、時間をかけて、ゆっくり読み進めたものだったように思います。

私は、今の時代のトレンドとは関係なく、時間がかかっても、自分の「読書」をしていきたい、と改めて胸に刻みました。
人生の残り時間を考えたら、なおさら。
これまでもそうしてきたように、これからも、流行り物は横目で流しつつ、読みたい本・読むべき本を手にしていきたいです。

以下次号。



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| ●月ノヒカリ● | その他雑文 | comments(2) | trackbacks(0) |
2017.08.06 Sunday 16:50
相変わらず、腫瘍マーカーは上昇していて、癌の肝転移も大きくなっていて、骨転移も増加しているようです。
落ち込む要素しかないので、ブログを更新できずにいました。
夏バテのせいか、グッタリしているので、ブログの更新はもうしばらくお休みします。

私の周囲では、「ステージ4の癌患者に嫌がらせをする」なんて話、リアル生活でもネット上でも、まったく聞いたことがないです。
私のツイッターその他に対して不正行為を働いて平然としている人たちは、「人の命を尊重する」という最低限の倫理すら持ち合わせていないようで……彼らに対して、どういう日本語なら通じるのか、さっぱりわかりません。
文字通り「言葉を失っている」状態です。







| ●月ノヒカリ● | 日記・雑感 | comments(4) | trackbacks(0) |
2017.06.07 Wednesday 22:40
5月に検査したCTとMRIの結果を聞きました。
結論から書きます。
癌の脳転移はありませんでした。
ただ、肝臓への転移が大きくなっていることがわかりました。

CTの検査結果は、いつもプリントアウトしてもらっているんだけど、デジカメで撮影して、切り取ったのを貼っておきます。

下の画像は、1月にやったCT検査結果の、「所見」の部分から。
CT1月 1月の時点では、肝臓への転移は縮小していたんです。

で、次が5月にやったCTの検査結果。
CT5月 肝臓への転移が大きくなってるみたいなんです。


そして腫瘍マーカーの推移がこちら。
腫瘍マーカー 上が「CEA」、下が「CA15-3」、乳がんで指標として使われる腫瘍マーカーです。

そして5月末にやった血液検査の結果が、こちら。 腫瘍マーカー5月 両方とも基準値を超えてしまいました。


結果を聞いて、結構ショックを受けたので、ブログでの報告が遅れました。ご心配くださった皆様、すみません。
とりあえず、ホルモン療法の飲み薬は変えることにしましたが、それ以外のことは、来月また主治医と相談する予定です。

肝臓って、生命維持に欠かせない臓器なので、癌の肝転移が大きくなるというのは、生命予後にダイレクトに影響を与える可能性があるわけで。
さすがにちょっと落ち込みました。

というのも、この腫瘍マーカーの数値が上昇した2月から5月頃って、ちょうど私のツイッターへの不正アクセス等の嫌がらせがあって、体調不良だった時期と重なるので。再発癌が悪化したのは、不正アクセス等のストレスが原因、としか思えないんですよね……。

不気味なニヤニヤ笑いを浮かべながら、ツイッターで嫌がらせを繰り返してきた人たちのおぞましさを、私はたぶん、忘れることはないと思う。
再発癌や精神疾患といった、重い病気を抱えている人間に対して、不正な嫌がらせ行為を恥ずかしげもなくできる人がいるというのは、私にとっては物凄く衝撃的な出来事だった。
彼らが、一見して「普通の」人だったり、あるいは一見して「正しそうに思えること」を語っている人だったりすることもまた、「衝撃」を倍増した。
「上っ面だけの言葉」に対する違和感や疑念みたいなものは、今も私の中から消えない。

今の私にとっては、「社会が殺しにきている」というのは、大袈裟でもなんでもなく、文字通りの意味だった、みたいだ。
複数の病気や障碍を抱える人間にとって、「生きてること自体が社会運動である」時代。今は、そういう時代らしい。

まあでも、自分のこれまでの人生を振り返ってみても、次々に重めの病気に罹って、強い自殺願望や心身の不調を抱えながらも、なんとか生き延びて、ここまでやってきたわけで。
そういう意味では、これから先も、これまでと変わらない気もします。

このブログにコメントくださる方は、文面からして真面目な人が多いと感じるし、私自身も「真面目すぎる」と言われることがよくありますが……皆も私も、今よりもう少し、自分に優しくなってもいいのかな、と思うようになりました。もう本当に、こんな時代だからね。

今の私は、単なるアマチュアブロガーに過ぎないけれども、「見せかけだけの正しさ」とか、「うわべだけ取り繕った言葉」は、昔から嫌いで、その気持ちは今も変わらない。
「見せかけの言葉が溢れている時代」というのは、過去にもあったのだろう。例えば戦時中の日本や、1970年前後の「失敗した革命」の時代に。そして今現在も。

だから、とても難しいことだけれども、これから先も私は、「見せかけではない言葉」を、探し続けることになるんだと思う。
それが何なのか、そんなことがそもそも可能なのかどうか、わからないのだけれども。

ただ、それもこれも、生きていなければできないことなので。
今はともかく、体調が少しでも回復するよう、まずは「日常生活」をしっかりやっていくつもりです。






| ●月ノヒカリ● | 病気 | comments(5) | trackbacks(0) |
2017.05.31 Wednesday 23:24
前回のエントリで書いた通り、病院で脳のMRI検査をしてきました。
MRIは、磁気共鳴現象を利用した画像診断です。

MRI検査は、子宮筋腫の診断等にも使われるため、過去に何度か経験していて、脳のMRIは去年もやりました。
今回は、記録のためにブログに書いておくことにします。

脳のMRI検査をする場合は、ヘッドホンをして(機械音がうるさいから)、頭が動かないようにがっちり固定して、仰向けに寝た状態で白いトンネルのような機械に入るんです。
ただ、確か去年は、最初に造影剤を注射して、それから検査が始まった、と記憶してるんですけど。
今回は、造影剤なしで、いきなり検査が始まったので、「あれ?」と思ったんですよね。

CT検査をする時は、まずは造影剤なしで単純CTの撮影をした後、造影剤を入れて再び撮影する手順なので、MRIもそうなのかなあと考えたりもしたんですが。
そうこうするうちに検査が始まってしまいました。
MRIは30分くらいかかる検査なので、もし造影剤を入れ忘れていたのなら困るなあとか、だんだん不安になってきて……迷った末に手元のブザーを押して、ドクター(かどうかわからないけど、検査担当の人)を呼んで、質問してみました。
そしたら、「まずは造影剤なしで一通り撮影してから、あとで造影剤を入れます」との答えで。
そっか、やっぱりそうなのね、と納得しつつ、疑問があるときは、早めに(できれば検査が始まる前に)聞いておいた方がよかったんだなあ、と改めて実感しました。

この日は血液検査もあって、MRIと合わせて、7110円でした(3割負担で)。
ちなみにCTは、8690円でした(3割負担で)。
癌って、検査だけでも結構なお金がかかる病気ですよねえ(ため息)。

そして、検査結果を聞くまでのドキドキというのも、これまた何度も経験済みですが、慣れるものではないですね。
体調は前より回復してる気がするので、癌の方も、おとなしくしてくれてたらいいんですけど。

石牟礼道子の『苦界浄土』は読み終わって、感想をちょこっと書こうかと思ったのですが、それはまたにします。






| ●月ノヒカリ● | 病気 | comments(5) | trackbacks(0) |
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