2010.02.01 Monday 23:29
あー書きたいことがまとまらないので、久しぶりに「オタク」カテゴリの更新。

私が十代の頃愛読していた、「JUNE」という雑誌がありまして。
そこで活躍していた榊原姿保美さんの作品で、『雪うさぎ』という小説があるんです。この作品自体は、私は特に好きではないのですが、ケイブンシャ文庫版だったかな、その巻末のね、解説を、な、なんと!久世光彦先生がお書きになっているのですよ。
「ある種族」と題されたその解説が、私が以前勝手につくった「オタクの定義」にぴったりの表現で、しかもあまりにも美しい文章なので、ここに最初の方だけ引用しておきます。
 私は、ほんの少しだけわかっているつもりだ。この世には、《幻想》という、苦みの中に微量の甘味の混じった食物を主食に、《生活》とか《人間関係》とかいう副食物は、栄養のバランスのため最低限だけ摂取している種族が、たとえばひんやりした地下室や、空気の希薄な屋根裏部屋なんかに、常人よりもいくらか早い呼吸をしながら棲んでいることを――。たまたま、その種族が街中を急ぎ足で行くのを見かけたりすると、人はこんな風に思ったりする。――まるで穏やかな目をした草食動物のようだ。でも、どうしてあんなに伏し目がちなんだろう――。別の人は、もうすっかり亡びてしまったと思っていたのに、青い血が体内に流れていると言われるチェロキー・インディアンが、まだこんなところに残っていたのかと、びっくりして夕闇の中へ消えていくその後ろ姿を見送るかもしれない。私もそんな種族の何人かを知らないではない。けれど彼らは、私が午後のお茶を飲んでいると、いつだって予告もなしに私の前に現れ、話がちょっと途切れたと思ったら、もう私の視界から消えてしまっている。
     久世光彦「解説――ある種族」(榊原姿保美『雪うさぎ』より)

これ読んで私、感激しました。
ひきこもりオタクをこんなに美しく形容してくれてありがとう!みたいな。
でも、でもですよ。実際のひきこもりオタクは、こんなに透明に美しい人種ではないはずだ。
私は断言する。
この種族の90%は、間違いなく汚部屋の住人です。
あとの10%は、気味が悪いくらいに整理整頓された部屋に住んでいるのではなかろうか。
ブログ主はどっちかって? ご想像にお任せします。

ところで、「チェロキー・インディアン」って初めて聞いたので、まあアメリカ先住民ってことはわかりますけど、これがちょこっと調べてみたら、悲しい歴史がありました。
チェロキー族は、金(ゴールドラッシュですね)に目がくらんだ白人に迫害されて、住み慣れた故郷から追い出され、過酷な旅の途中で数千人が死亡したという、悲劇の種族だったのだ。詳しくはこちらを参照。ああああああ。

まるで我が運命を見るようで、涙が止まりませんよ。
やっぱりどうしたって、オタクは迫害されて滅亡する運命なのだ。
でも、それでいい。
私、オタクに対して美意識があるのね。変な美意識だけど。
社会に適応しているオタクなんて、オタクじゃねえ!!
あと、群れるオタクも好きになれない。
オタクは孤高の存在たるべし。
主食は妄想であるべし。
リア充は氏ね。
ああ、せっかくの久世光彦様の美しい文章を、薄汚れた叫びで穢してしまって、ごめんなさいです……。

……末期だな。
| ●月ノヒカリ● | オタク | comments(6) | trackbacks(0) |
2018.10.07 Sunday 23:29
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Comment
2018/06/08 7:57 PM posted by: くろ
こんばんは。
ちょっとアニメについて勉強したくてカテゴリ別に読ませていただいていたら爛船Д蹈ーインディアン瓩諒源が!
『リトル・トリー』という本、私が大好きな本なのです。
近所に住んでいたら郵便受けにに入れたいくらいです。
(古本屋さんで百円だと買ってしまって数冊持っているのでプレゼントしたい)
でも、お体が一番大切。
どうぞお大事に。
それでは。
2018/06/10 5:27 PM posted by: 月ノヒカリ
くろさん、お久しぶりです。
『リトル・トリー』という本、知人からタイトルは聞いたことがあります。
とても感動的な本だったらしいのですが、著者がKKKの関係者で人種差別主義者だった、というエピソードを知って、複雑な気持ちになったとか。
私も元気な時だったら、一度読んでみたかったのですが、今はなかなか……。
ともあれ、コメントいただけて嬉しかったです。それではまた。
2018/06/10 9:59 PM posted by: くろ
わたしもそれ、弟から聞きました。
でも、
「姉ちゃん、それでもこの本のすばらしさは一切損なわれないんだ。それが本の力なんだよ」
と言われたことが印象に残っています。
今も読み返すと、宝物のような言葉がたくさんきらめいています。
今からまた読み返してみます。
月ノヒカリさんのブログ記事のおかげで大切な本に再会できてうれしく思っています。
ありがとうございました。
そして、お大事に。
2018/06/12 11:13 AM posted by: 月ノヒカリ
くろさん、こんにちは。

>それでもこの本のすばらしさは一切損なわれない

そういうものでしょうか……。私はそこまで割り切れないです。
「直接の被害を受けたかどうか」とも関係するのかもしれません。
私は、自分が直接の被害を受けた嫌がらせ加害者の言葉を、他の人がどんなに褒めそやしても、純粋に素晴らしいとは思えなくなりましたから。

ともあれ、お見舞いの言葉、ありがとうございました。それではまた。
2018/06/13 9:00 AM posted by: くろ
ちょっと、話は違うかもしれませんが、月ノヒカリさんの今まで出会った人の中には「大多数の人から誤解されやすいけれど本当はすごく優しい人だ」と月ノヒカリさんだけは気が付くような人がいたりしませんでしたか?
私はよく、2人の対立する人からともに相手の非難を聞かされる立場に立ってしまうことがありました。
変な話ですが、「相手に対する非難」をあまりしない人の方をわたしは心の中で支持する傾向があるようです。

たとえば、殺人犯の書いた本などは手に取りません。

しかし、この本の場合、本当に本当のところはわからないのではないか。
そもそも、古今東西全ての作者の素行調査なんてしようがないし、それは書き残されたものから判断するのが一番なのではないか。というか、それしかないのではないか。
…そういうことを弟は言っていたように私は受け止めています。
どうぞくれぐれもお体を大切に。
月ノヒカリさんの新しい歌を楽しみにしています。
2018/06/23 8:51 PM posted by: 月ノヒカリ
くろさん
コメント拝読しました。体力的な問題もあり、ここではコメントへのお礼のみとさせてください。
コメントいただき、ありがとうございました。
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