2009.08.06 Thursday 12:34
評価:
中島 梓
光風社出版
(1997-09)
コメント:新版全4巻。旧版は3巻まで

私は小説というものを書いたことがない。
いや、腐女子として、萌え作品に出会ったときは、二次創作したくなるし、書き始めたこともあるけど、あまりの才能のなさに即刻破り捨てました。
それでも私にとって『小説道場』はバイブルだった。小説を書かなくても、私の文章の師は中島梓です。

『小説道場』は、1984年から1995年にかけて雑誌「JUNE」に連載されていた、中島梓によるやおい小説指導の書だ。私は途中から、そのリアルタイムの読者だった。
一応知らない人のために。当時、二次創作でないオリジナルのやおい小説を載せていた唯一の雑誌が「JUNE」でした。当時は、「やおい」は主に二次創作作品を指す言葉だったので、オリジナル作品を「JUNE」と総称していたものです。

この小説道場、小説を書かない一般の読者が読んでも、充分面白い。
一人称小説と三人称小説の違いとか、「視点」の話とか、もう言われるまで全然意識したことなかった! 勉強になります。

私が小説道場で学んだ最大のポイント。
中島梓道場主曰く、「文章とは空気のような存在であるべきだ」「だから文脈上必要なら、私は悪文でも平気で書く」
―――――と書いてあったと思ったんですが、私の捏造でした(笑)
正しくは、↓

平易で過不足なく緩急自在、というのを私は文章の理想とするので、「あるかなきか」のような文体がもっとも好きである。(中略)私は、バランス的にいってここには悪文が入るべきだ、という信念によってわざと読みにくい文章を挿入することがある。
                   (以上、旧版小説道場3巻より)

全盛期の、いちばん輝いていた頃の栗本薫の小説を読むとき、私は本当に、文章など存在しないかのように、すんなりと世界に入り込んで、登場人物と一つになることができた。(最近はそうでもなかったわけだが。栗本薫は『小説道場』を読み返すべきだったね。)

だから私は文章を書くとき、それがレポートでも手紙でもメールでも、「自分の意図を正しく伝える」ことを最優先させ、言葉を飾ったり、わざと難しい表現を使うことを避けてきた。
私にはレトリックを駆使した美しい文章は書けない。たどたどしくても、拙くても、ちゃんと自分の言葉で、自分の思いを伝えたい。その気持ちは今も変わらない。
だから、小説道場に投稿したことはなかったけど、中島梓は私の師です。

でも『新版小説道場』読んでたら、中島梓道場主、「すべからく」を誤用してました。(「すべからく」に「すべて」の意味はありません。)
他人様に文章指導しようという人が、このような誤用はいかがなものかと。

最後にいちばん大切なことを。
中島梓は、小説道場で門弟たちに、
「なぜJUNEもの、男同士の恋愛ものを書くのか。なぜ女でありながら、女を排除した世界を書くのか、考えよ」
という問いを、何度も何度もくりかえし突きつけてきた。
私はついにJUNE小説を書くことはなかったけど、「なぜ私はこんな、男同士の恋愛ものを好んで読んでいるのか?」と十代の頃から繰り返し、自分に問い続けることになった。

「なぜやおいが好きなのか?」の答えは、100人いたら1000通りの答えがあると思う。
答えは一人につき一つではないのだ。
私なりの答えはあるけど、それはまた別項で書くつもり。
とにかく、そのような自分のアイデンティティの根幹に関わる重要な問いを突きつけたという意味で、中島梓は私の人生の師でもあったのだ。


拍手してくれなきゃ、寂しくて死んじゃうんだから!

| ●月ノヒカリ● | 栗本薫(中島梓) | comments(6) | trackbacks(3) |
2020.02.17 Monday 12:34
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Comment
2009/08/09 1:15 AM posted by: らいむ
はじめまして
トラバ、ありがとうございます。公開させていただきました。

ちょっとあわただしくしており、、処理が遅くなりました、すみません。
興味深いブログをお書きですね。またゆっくり寄せていただきます。

取り急ぎご挨拶まで。
2009/08/09 9:28 PM posted by: 月ノヒカリ
らいむさん、こんばんは。
コメント&トラバ公開、ありがとうございます。

いろいろと迷走気味で、趣旨のわかりにくいブログですが、
ぜひぜひまた遊びにきてくださいね!
今後ともよろしくお願いします。
2009/08/11 12:36 AM posted by: 千華
初めまして。
トラバありがとうございました。
小説道場は、私にとっても忘れられないコーナーです。
栗本薫さんの訃報を聞いたときも、私的には「グインサーガ」よりも「中島梓の小説道場」でした。
あそこで教えていただいたいろいろなことが、今、小説の真似事など書いているときの基本のひとつになっているような気がします。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2009/08/11 4:12 PM posted by: 月ノヒカリ
千華さん、こんにちは。
やっぱり『小説道場』は名著ですよね!
栗本薫が一般的には「グインサーガの人」としか知られていないのは、残念です。
小説を書かない私にとっても、大切な本です。
これからもよろしくお願いしますね!
2009/08/16 9:30 AM posted by: ヨウコ
はじめまして。
トラックバックありがとうございました。
小説道場は、初めて読んだ時に大変衝撃を受けた作品です。またこういった作品を読ませて頂きたかったのですが、訃報は本当に残念でなりません。
でも小説道場は本当に素晴らしい作品です!
多くの人に手にとってもらえるよう、ぜひ再版をしてほしいものです。
2009/08/16 1:30 PM posted by: 月ノヒカリ
ヨウコさん、こんにちは。
こちらこそ、TBありがとうございます!

私も、「小説道場」はJUNEという範疇を超えて、表現する人にとって大切な心構えが書かれてある名作だと思います。
歴史に残る傑作ですよね!
再販、してほしいものです。
コメントありがとうございました。
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2009/08/09 11:10 PM posted by: グラス・エイジ
作家栗本薫でもある著者が、1984年から95年まで、71回に渡って雑誌『JUNE』『小説JUNE』〔(株)マガジン・マガジン 発行 〕誌上に連載し...
2009/08/14 11:34 PM posted by: ゲイ&腐男子のBL読書ブログ
こんばんは……のあとになにから書けばいいものやら。 ここ数日インプットばっかりして、アウトプットを しなかったせいなのか(昨日は久しぶりにPCを立ち上げなかった)、 それとも言いたいことがありすぎて言葉にならないからなのか。 というのも、昨日の午後か
2009/08/16 9:26 AM posted by: 日々思うこと
アニメもコミックス第34巻の中盤に差し掛かり、あの切なくもホモムードまんまんなサスナルの再会シーンまで、数週間に迫りました。
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