2011.01.14 Friday 22:39
ここしばらくのタイガーマスク現象、私は何となくもやもやした気持ちを抱きながら、ながめていた。
もちろん、寄付自体はいいことだと思うんだけど。
最近は「やらない善よりやる偽善」という言葉もあるらしいけど、これはその通りだと思うし。
一方で、今回の一連の寄付を「美談」として持ち上げるのにも、違和感があった。
端的に言うと、「もらう側は本当に喜んでいるのだろうか?」ということ。

その違和感を、ご自身の体験から言葉にしてくれた人がいて、読んで思わず「そう、これだよ!」と膝を打った。
以下のブログ記事です。
■ものをあげるということについて(伊達直人騒動に関連して) (saereal.net)

「ものをあげる」「してあげる」ことにつきまとう、傲慢さみたいなもの。
「本当に相手の役に立っているのだろうか」という懐疑。

寄付とか、支援とか、ボランティアとか、そういう現場にいる人には、つきものの悩みじゃないかと思う。逆にいえば、そういう迷いや悩みを持たずに、「善意を実行している」と信じる人には、危うさを感じる。

――― ものをあげるより、問題と向き合い続けることがどれほど難しいか。
――― 単純な善意が暴力に変わることがあるってことを、ちゃんと自覚すること。
この二つは、私も胸に刻んでおきたい。


それから、こちらのブログ記事にもヒントをもらった。
■寄付をすることであなたも伊達直人になれる? (lessorの日記)

「日本には寄付文化が根付いていない」というのはよく言われるけど(伊勢崎賢治氏の著書にもあった)、潜在的に「寄付したい」と願う人は、実はかなり存在するのではないか。
今回、ブームといっていいほど寄付が広がったのは、送り主が「タイガーマスク」というキャラクターに自分を投影できること、その「物語性」の部分が大きいのではないか。
「物語性があると寄付も促されやすい」という上の記事の言葉には「なるほど」と唸った。

こういう善意をうまく掬い上げるシステムをつくれれば、もっと「必要な人に必要なものを届ける仕組み」ができるのではないか。逆にいうと、ただ「寄付用口座」をつくってそこに振り込んでもらう、というシステムでは、お金は集まらないのではないか。そういうことを考えました。

それから、報道は「児童養護施設」とか「児童相談所」の現況について触れることもしてほしい、というのも同感です。


というわけで、以下のTwitterまとめ記事を参照。
■『日本の児童養護』 〜英国との比較〜(togetterまとめ)

「子どもの側の事情から見た時に、寄付やチャリティーはどういう意味をもつのか」という視点が興味深い。
イギリスでは「施設の子ども一人ひとりに職員一人を配置している」とか、こういうのを読んで「日本は遅れている」と言うことも可能だ。
けど、ここでは、もっと本質的な問題が提示されているのではないか。

「児童養護施設」というのは、チャリティ(慈善)の対象であって、それを受け入れるべきなのか。
それとも、自分の責任ではなく社会的養護を受けることになった、「市民としての権利」主体である子どもに、十分な財源や金品を国家が支給すべきなのか。

今回のタイガーマスク騒動は、負の効果として「恵まれない子どもたち」というイメージを再度強化することにつながってしまったという問題提起には耳を傾けておきたい。
チャリティとのつながりは施設の子どもの自尊心や尊厳を損なうおそれがある」という指摘も。


今回の一連の寄付を、私は基本的には好意的に捉えている。
でも、やっぱり「寄付は素晴らしい」で終わりにはしたくない。

今回のことを出発点として、寄付や善意はどうあるべきか、これからの日本の社会はどうなっていくのが望ましいのか、それを考えるきっかけとなってほしい。
そして、今回の件に「もやもやした気持ち」を感じた人は、そのモヤモヤを持ち続けながら、考え行動してほしい。
もちろん自分も含めて、ですが。

そんな感じです。

| ●月ノヒカリ● | 社会 | comments(7) | trackbacks(4) |
2019.08.30 Friday 22:39
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Comment
2011/01/15 1:26 AM posted by: 華はこべ
こんばんは。ぷれみあむっの華はこべです。
記事にコメントするのは初めてで緊張します。

この件は、私もなんだかモヤモヤしていました。寄付は善意で行われるもので、できる人はしたほうがいいのだけれど、どんな形でもよいわけじゃないなあ…と。

リンク先の記事を読んで目からウロコでした。あげるなら全員にいきわたるように配慮しないと、寄贈先をかえって困らせてしまうのですね。そういえば、ニュースを見たとき、ランドセルの数がたりのるかちょっと心配でした。

それと、相手が喜ぶことを前提に寄付するのはおかしいですね。私は誰かに物を贈るときにお礼の言葉を求めません。募金するときは「喜捨させてくれてありがとう」と感謝します。

身元を伏せて寄贈品を送付する行為については、やっぱりもやもやします。もらったほうは戸惑いますよね。実際、対応に困っています。

ただ、このニュースに反応して寄付をする人が出ているときいて、ちょっとうれしくなりました。これを機会に、寄付・寄贈の方法や送付先などを周知させてゆけばよろしいかと。

そんなふうに、良い影響をもたらしたと考えると、今回のタイガーマスクさんの行為は成功(?)といえるのかもしれません。

月ノアカリさんはいつも私の考えていることをズバリ書いてくれちゃうのでビックリします。今回も同じ「モヤモヤ組」だったので、不思議な気持ちになりました。

それでは!
2011/01/16 7:05 PM posted by: ノア
通りすがり失礼いたします。

私自身、昔から寄付している者です。

今回の運動ですが、一時であろうと無かろうとそれをおこなわないより行う方がぜんぜん良いと考えます。

100万も1万も1000円も善意をおこなう事に関しては何も変わらないと思います。

私自身そんな高額な寄付をおこなった事はありません。

正直言いますと、善意なんてものはありません

自己満足です

良いことをした

子供たちが喜んでくれた

感謝されることに幸せを感じています。

でも、それで良いと考えています。

自己満足で助かる人がいるんです。

これ以外に私は良い方法が思いつかない為しています。

一番の問題は考えてほしいと言うだけでなく、各々が考え行動実行し誰かがでは無く自分がという意識を持つことだと思います。

通りすがりの上、長文駄文失礼いたしました。
2011/01/16 9:26 PM posted by: 月ノヒカリ
☆華はこべさん

こんばんは。ようこそお越しくださいました!

日本では、ランドセルが足りなければ買えばすむので、パキスタンと同列に扱うことはできないと思いますが……お金ではなく「ものを贈る」のは、ちょっと微妙な問題があるなあと感じました。
「子どもたちは、ランドセルをもらって本当に喜んでいるのだろうか」ということを考えてしまうんですよね。

上のブログのコメント欄にもあったんですけど、「ものを贈る」のは、「贈る側の方がより嬉しい」という面があるように感じます。
身元を伏せて送りたいのなら、やっぱり物よりもお金の方がいい気がします。

「喜捨」というのはいい言葉ですね。募金という行為は、まさに「喜捨」ですよね。


>これを機会に、寄付・寄贈の方法や送付先などを周知させてゆけばよろしいかと。

そうですよね。
児童養護施設だけではなく、支援を必要としている団体はたくさんあると思うんです。
「○○がいくつ必要」とか書いてあれば、物でも送りやすいと思いますし。

初代のタイガーマスクさんは、こんなに有名になるとは思わなかったでしょうが、たぶん寄付をしたくても機会がなかった人にとっては、いいきっかけになったのではないでしょうか。

コメントありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。




☆ノアさん

はじめまして。
ここに書かれている文章からはよくわからないのですが、ノアさんは児童養護施設に寄付されているのでしょうか?
私も、今回の運動は、たとえ一時的なものであってもよいことだと捉えていますし、善意でなく自己満足から行なったことであっても構わないと思います。

ただ、寄付されたのが「お金」ではなく、「物」だったところに、ひっかかりを感じます。何にでも換えられるお金とは違って、「物」は相手にとって負担・迷惑になることもありますから。

私が寄付や募金をするときはたいてい振込なので、「子どもたちが喜んでくれた」経験はありません。なので、ノアさんのおっしゃることはあまりピンと来ない部分があります。

>各々が考え行動実行し誰かがでは無く自分がという意識を持つこと
これはおっしゃる通りだと思います。
ただ、『日本の児童養護』〜英国との比較〜 http://togetter.com/li/88828
は読んでいただけましたでしょうか?
私はこれを読んで、児童養護とチャリティ(慈善)を結びつけることへの疑問を感じました。

ノアさんが寄付を続けていらっしゃるのは、素晴らしいことだと思います。
だからこそ「自己満足でいい」で終わるのではなく、さらに一歩進んで、次の段階を考えてみたいと思いませんか?
「行動」というのは、必ずしも寄付だけではないと思います。

コメントありがとうございました。
2011/01/17 5:34 PM posted by: アリガトウ
月ノヒカリさんへ

読んでいてそうだよな〜状態です
何故、寄付に抵抗があるのか考えてみました。

自分が寄付しないからもあるんですが、お金や物だけあげて終わりにしてしまうのに抵抗があるんだろうと思います。
あと、子供や障がい者や難民などに限定されているイメージがあるから抵抗もあるんでしょう。

お金で解決できない問題もありますよね。
お年寄りの万引きが問題になってますが、本当に欲しいのは商品でないような気がします。

自分の心に抵抗あるなら寄付や募金はしないほうが良いと思ってます。
抵抗あるならボランティアもやりたくないんです。

自分がして気持ちが良い行為で人の役に立ちたいとは思ってますが・・・。
2011/01/19 12:16 AM posted by: 月ノヒカリ
アリガトウさん、こんばんは。

>子供や障がい者や難民などに限定されているイメージ

これは私も思いました。
困っている人は他にもいるだろうに……と思ってたら、特別養護老人ホームに寄付した方もいらっしゃるようですね。
個人的には、小中高校生がお小遣いから寄付をするのなら、同じ子どもに寄付するよりも、老人に寄付するとかボランティアするとかの方がいいのではないか、という気がしました。

>自分の心に抵抗あるなら寄付や募金はしないほうが良いと思ってます。
>抵抗あるならボランティアもやりたくないんです。

え、そうですか?
私はむしろ、抵抗がある人にこそ、寄付やボランティアをしてほしい、と思います。
「考えずに行動する人」よりも「考えながら行動する人」の方が信頼できると思うからです。

少額でも寄付をすると、団体によっては活動報告を送ってくれるところもあって、それはそれで勉強になりますし。
その上、自腹を切ってお金を出すと、その問題についてもう少し真剣に考えるようになる、という効果(?)もあります。

>自分がして気持ちが良い行為で人の役に立ちたい

それは同感ですね。
ただ、「やってみないとわからない」面が確実にあると思うので、興味のある分野にはちょっとだけでも手を出してみるといいかもしれません。

コメントありがとうございました。
2011/01/20 9:56 PM posted by: アリガトウ
月ノヒカリさん、お返事ありがとうございます。

>抵抗ある人こそして欲しい。
>考えながらの行動

この考えはありませんでした。
その通りですね。
実は昨日、盲導犬の募金箱に小銭を入れました。
献血や骨髄バンクに登録もやる気になったら出来るので行動したいと思います。
2011/01/23 11:44 PM posted by: 月ノヒカリ
アリガトウさん、再びこんばんは。

少額でも、お金を出して関わると、その分世界が広がった気がしませんか?
私はその分だけ、関心も深まる気がしています。

献血や骨髄バンクは、私は健康上のチェックにひっかかるのでできないんですが……もしされるのなら素晴らしいですね。
自分に無理のない範囲で、チャレンジしてみてください!

コメントありがとうございました。
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