2015.04.12 Sunday 23:43
えっと相変わらず、ほとんどの人から求められてない気もしますが、ちょこちょこTwitterに投稿していた自作短歌がそれなりの数になったので、またブログに書き写しておきます。

以前にまとめた自作短歌エントリはこちら
あと、昨年「短歌クイズ」のエントリに出したのも、自作短歌です。

去年の冬から今年の春にかけてTwitterに投稿した短歌に、新作も少し付け加えて、ここにまとめておきます。 解説を付けるのは野暮かも……と思いつつ、やっぱりまったく理解されないのは悲しいので、ちょっとしたコメントも付けておきます。

詩をくれた君に常套句(クリシェ)を返すしかできないことが悔しくて今

風に薫る言葉を摘んで花束にして君に捧げる愛の歌
以前の自作短歌エントリで、「表現を迷っている歌がある」と、皆様にアドバイスをお伺いした「言葉の花束」の短歌、最終的にこうなりました。
この二首はセットで読んでください(こういう詠み方は邪道なのかもしれませんが、何しろ正道を知らない門外漢なので……)。
二首目は、ちょっと砂糖まぶし過ぎだろーと思わないでもないのですが、少女漫画で育った生粋の甘党なので、そこはお許しください。

風の筆が雲の模様を描き出す空のキャンバスどこまでも青
これ、きっと似たような歌はあると思うんですよね。空をキャンバスに見立てるのは、誰でも思いつきそうだから。
でも、まったく同じ歌はまだ見たことがないので、一応置いておきます。似ている歌をご存じでしたら、ぜひ無知なブログ主にご教示ください。

正しさを求め続ける蟲たちが集う電脳異端審問

オクターブ声を落として話したい 正義について語るときには
上の二首は「ネット炎上」について詠んだ歌です。
「正義」って、場合によっては、人を殺しかねない凶器にもなり得ると思うんです。
だから自分を含めた全てのネットイナゴたちに、自戒を込めて。

溜め息がきこえる距離でそれぞれの宇宙に繋がる液晶の窓
これは、電車に乗ってたとき、スマホの画面を覗き込んでる人がやけに多いなあと思ったので。
ただ、くどいようですが、ブログ主はいまだにスマホ持ってません。

滾る血を星の冷気で包みこみ戦いに発つ冬のオリオン

近づいては離れ決して交わらないふたり二重連星のシリウス
上の二首は、冬の夜空を眺めつつ思いついたもの。

真っ白なお皿の上に絡まった思考を一つまた一つ置く
この歌は、「スマートノート」をイメージして詠んだ歌です。


以下の歌は、解説なしで置いておきます。
強力な磁石が支配する都市は避難所(アジール)なしでは息もできない

粉雪は祝福のしるし ぼくたちが進む未来を照らしてくれる

高周波の恋をしていた 恍惚と絶望が弧を描いて墜ちる

群青(インディゴ)の夜に降る雨 遠くから星と赦しの歌がきこえる

君がくれた言葉にひそむ柔らかな棘の痛みを決して忘れない

冬の陽の光が斬りつけた傷をぬばたまの夜はやさしく包む

青く固い壁の向こうに君はいた 君を通して世界が視えた

みぎひだり、上と下とに分かたれた地球はもっと丸くなるべき

昨日まで君が座っていた場所に残る爪痕 星のない空

さよならの言葉は空に 君からの手紙は星のポストに還す


あと、最近つくった新作はこちら。
ひたすら生春巻を包む 雨に散る花は一度も見なかった春

ブレーキをかけて路傍のたんぽぽが送る周波に耳を合わせて

近ごろは極彩色の夢ばかり見ているせいか日はモノクローム

ウイルスに微量の狂気混入中パンデミックは赫いカーニヴァル

遠ざかるほど鮮やかによみがえる記憶の種を愛と呼びたい

実はつい先日、久しぶりに生春巻をつくったんですが、ずいぶんと時間がかかった上に、うまく包めなくて、具がはみ出して崩れた生春巻になってしまいました……。まあでも味はおいしかったです。ちなみに具は、スモークサーモンとクリームチーズと、あと大葉とかレタスとかの野菜類です。

でもって、今年の春は、ちゃんと桜を見る機会がなかったなあと。咲いたらすぐ、雨で散ってしまったので。
たんぽぽは、桜ほど顧みられることのない花ですが、それでも道端に咲いているのを見つけると、たいてい足を止めます。

まあこんな感じで、これからもぽつぽつと、その時々に見たものや感じたことや思いついたことを歌にしていけたらいいな、と思ってます(一応念のために断っておくと、歌に詠むのは必ずしも事実というわけではなく、フィクションも含みます)。

例によって、読んでくださった皆様に感想等いただけると、ブログ主は泣いて喜びます。

皆様もぜひご一緒に、クールで華麗、かつファンタスティックな短歌ライフをエンジョイしませう。


 約束はしないよ けれどきっとまた遠い未来のどこかで会おう






| ●月ノヒカリ● | 短歌 | comments(8) | trackbacks(0) |
2018.09.11 Tuesday 23:43
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Comment
2015/04/14 9:02 PM posted by: りょう
短歌のエントリ、ありがとうございます。
将棋のエントリのコメント、読みました。こちらこそ気を遣わせてしまったようですみません。きっと実際の動きを見れば「あれかぁ」とわかると思うのですが、文章だけのやりとりだと、そういうことは難しいですね。文章だけのコミュニケーション、かなり好きですが、こういうところは難しいな、と思います。

今回の短歌も、いいですね。
あえてひとつお気に入りをえらぶなら、「ひたすら生春巻を包む 雨に散る花は一度も見なかった春 」でしょうか。ほかの短歌は、美しい言葉で、ロマンチックで、かっこよく詩的で、この世界観最高に好きなんですが、だからこそ、かえってこういう日常的な歌が目立ちます。
優劣という意味のお気に入りじゃなくて、目立つという意味でこの歌を。日常って大事だとも思いますし。ぼくはないがしろにしがちなのですが・・・。

自分も短歌ちょっと読んでみました。
「くじらぐも 空に跳ぶ真似 30cm 地から取る距離 足を折りつつ」
国語の教科書、一年生のときに読んだ「くじらぐも」。30cm地面から飛ぶという記述を読んで、練習しました。30cmって小学校一年生には相当高かったから、足を折りたたんでジャンプしてました。

「夜の青 アクアリウムに 棲む人魚 届けこの歌 テレパシーにのせ」
完全なイメージのみの歌。こういう歌もありかな、と思ったのは、月ノヒカリさんの短歌を読んだからです。
今、短歌が出てくる物語が書きたいと思って、小説を書いているのですが、これも貴女の影響です。

あと、回文をひとつ。
「謹呈の金のキツツキのんき能天気」。
松原秀行さんの「パスワードシリーズ」に出てくる、金のキツツキのんき、という回文をアレンジしただけですが。

中井久夫さんのエントリがありましたが、中井久夫という名前の男の子が主人公の「かたわ少女」という海外のフリーノベルゲームが近日公開されました。でも、名前がかぶったのは偶然だそうです。ぼくはそのゲームの紹介で、はじめて中井久夫という精神科医の存在を知ったので、妙な縁を感じました。
2015/04/15 8:06 PM posted by: 青
>真っ白なお皿の上に絡まった思考を一つまた一つ置く
これが好きです。
>ウイルスに微量の狂気混入中パンデミックは赫いカーニヴル
あとこの部分 。
最新作はなんだかラップ調で読んでました。
思いついたことは書いておいたほうがいいんでしょうね。
私もスマホ持ってません。

2015/04/15 11:26 PM posted by: 月ノヒカリ
りょうさん、こんばんは。
自作短歌、読んでくださってありがとうございます。

「日常的な歌」ですか〜。
いや、自分としては、「電車に乗ったら皆がスマホの画面を覗いてた、という光景を詠んだ歌」とか「道端にたんぽぽが咲いていたのを歌にした」というのも、「日記のような短歌」という認識だったんですけど。そうかー、これらの歌は「日常」には入らないんですね!(笑)
感想、参考になります。

ここに載せた自作短歌は、100%空想だけでつくったものは少なくて、実際にあった出来事や人からインスピレーションを得て生まれたものが多いです。
その「実際にあった出来事や人」について、ありのまま散文に書くのは難しい(あるいは書くとつまらなくなる)ので、短歌という表現形式を取っている、という感じです。


りょうさんのつくられた短歌、ロマンティックで素敵ですね。
「くじらぐも」は知りませんでした。
検索したら、このサイトに載ってました。
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~kokugo/nonami/2004zemi/kyoudou/3kennkyu.html
小学校一年生のときのことを、鮮明に覚えておられるんですね。


「アクアリウムに棲む人魚」の歌は、明治生まれの女性歌人・齋藤史のこの歌を連想しました。

 アクロバティクの踊り子たちは水の中で白い蛭になる夢ばかり見き 『魚歌』

昭和初期に詠まれた歌ですが、このシュールな抒情性が戦前の日本に存在したというのは、ちょっとした驚きでした。
短歌は、その奥に「物語」を読み取ることができるのが、面白いところだと思います。
りょうさんも、どうかその想像力を羽ばたかせて、素敵な物語を書いてください。


精神科医の中井久夫先生は、精神医学のみならず、多分野にまたがる文章を書かれている方です。
以前このブログでも、中井久夫先生が翻訳したカヴァフィス(ギリシア詩人)の「イタカ」を書き写したことがありました。
http://newmoon555.jugem.jp/?eid=424

私自身、深い感銘を受けた詩なので、よかったら読んでみてください。


それではこの辺で。
コメントありがとうございました。
2015/04/15 11:30 PM posted by: 月ノヒカリ
青さん、こんばんは。

自作短歌への感想、ありがとうございます〜(涙)
拙い歌ですが、一つでも気に入っていただけるのでしたら、つくった甲斐があったというものです。
ラップ調で読んでもらえるのも、嬉しいですね。
短歌って、元は「歌」だから、リズムも大事だと思いますし。

私もまだ当分の間、スマホは持たない予定です。
スマートノートは、サボりつつ続けています。

コメントありがとうございました〜。それではまた。
2015/04/18 8:08 AM posted by: りょう
「日常的な歌」、言われてみればその通りで、それらの歌も間違いなく日常なんですよね・・・。
使われている単語に「宇宙」や「周波」があるので、それが幻想的な感じを与えたのかも・・・。言われてはじめて気づきました。

齋藤史の歌、教えてくださりありがとうございます。いい歌ですね。戦前といえど、今の自分たちと通じる感性を持つ人を見ると、つながりを感じて素敵です。

「イタカ」のエントリは、以前に読んだことがありましたが、これも素敵な詩ですね。ぼくも好きです。
2015/04/25 8:41 PM posted by: 月ノヒカリ
りょうさん、こんばんは。
高熱を出して寝込んでいたため、レスが遅くなってすみませんでした。やっと少し体調が戻りました。

寝込んでいる間、せっかくだから「熱を出したときの短歌」でもつくろうと試みたのですが、うまくいきませんでしたね〜。

齋藤史の短歌は、抒情だけでなく、凛とした芯の強さも感じさせますね。他にも素敵な歌がいっぱいありますので、よかったら他の歌にも触れてみてください♪
またそのうちにこのブログでも、短歌紹介するエントリを書こうと思ってます。

コメントありがとうございました。それではまた。
2015/04/28 7:13 PM posted by: 絹さや
こんばんは。(私は韻文は作るのも鑑賞も詳しくないですが、以前に俵万智さんが編んだいろいろな女流歌人の歌を紹介した本の中で印象に残っているものは、作者も正確な歌そのものも忘れましたが、「君が墓標にしがみつき、悲しみを見せびらかす君が妻」という恐ろしい内容でした。そういったホラーな感情を昇華させるもよし、ヒカリ様のように希望や優しさが表れてもよし、本当に自由に詠んでいいものなのでしょうね。)
()の中の文は、この記事をお読みしてすぐに思いましたが、「お伝えするまでもなし…」と思っておりました。今日、図書館の最近亡くなった作家を紹介するコーナーで、船戸与一さんが今月22日に亡くなったことを知り、少しびっくりして、ついでと申し上げてはなんですが、やっぱり書きました。71歳、やや早いですね。ご冥福をお祈り致します。
2015/04/28 8:53 PM posted by: 月ノヒカリ
絹さやさん、こんばんは。

私が最初に短歌をつくったのは十数年前のことですが、その当時の短歌を読み返すと、なんだか暗ーい歌ばかりでした。そういう心境だったんでしょうね。今読み返すとあまりいい出来とは思えないので、お蔵入りしてます(・・・が、そのうち幾つかブログに晒す日が来るかもしれません)。

私はどちらかというと俵万智よりも穂村弘派だなあと思ったりします(そんな派閥があるかわかりませんが)。

船戸与一さん、亡くなられたんですね。
ここしばらく寝込んでいて、新聞もテレビも見ない生活をしていたので、初耳でした。
小説は一冊も読んだことなかったのですが、棋翁戦は楽しませてもらったので、残念ですね。

コメントありがとうございました〜。
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