2016.08.08 Monday 00:18
ブログお休みしていましたが、書きたいことができたので、再開します。

ちょっと遠回りになりますが、自己責任論の話から始めます。
自己責任論で一番ポピュラーなのは、「お前が貧困状態にあるのは、努力が足りないからだろ」というのが定番ですね。
それに対する反論はたくさんされているんだけど、通じない人にはさっぱり通じないみたいで、いまだに「貧困は本人の努力が足りないせい」と平然と言ってのける人、わりと見かけます。
それはそれで問題なんだけど、今回私が焦点を当てたいのは、そこではない。

前にも書いたことがあるけど、「苦しんでいる当人が、誰よりも自己責任論を内面化している」という問題があるんだよね。私にとっても、その「内面化された自己責任論」が、自分が感じている精神的苦痛の源になっている、みたいで。
これは私自身だけじゃなく、心の病等で苦しんでいる方々がこのブログに寄せてくださったコメントからも、感じていたことだ。

「お前が苦しいというのは、ただの甘えだ」という声が、どこかから聞こえてくるんですよ。「聞こえる」というのは、比喩的な表現で、統合失調症的な「幻聴」ではない。たぶんそれは見えない「世間」から発された言葉、なんだと思う。
それはお前の被害妄想じゃないか、という人もいるかもしれない。そういう面も少しはあると思う。 でも、「病気だろうがなんだろうが、お前が働かないのは甘えだ」的な言葉を投げつけられたことは、このブログを書いていて、実際に何度かあったのだ。

「自分の努力が足りないんじゃないか」とか「甘えちゃダメだ」という言葉は、過去ずっと、誰よりも自分自身が、心の奥に持ち続けてきたものだった。
でも、このブログを始めてから、少しずつ、少しずつ、過去のつらかったことを絞り出すように書いてきて。 改めて思ったのだった。
「あれ、私って結構、苦労してきたんじゃないか?」とか、「自分は努力が足りないって思い込んでたけど、それなりに努力したこともあるよなあ」ということを。

でも、このブログを読んだ上で、「甘えだ」と言ってくる人もいるわけで、本当に「世間様」というのは厳しいものである。
もちろん、世の中には、私よりもずっと大変な思いをしている人もいる、ということはわかっているつもりだ。このブログに寄せられたコメントを読んで、この方は私よりも大変そうな状況に置かれているな、と思ったことだって何度もある。そして、不思議なことに、そういう人ほど、こちらを労わるようなコメントを書いてくださるのだ。

一方で、このブログを読んだ上で「甘えだ」という言葉を投げつける人は、「働いている健康な人」ばかりだった。私が把握している範囲では、の話だけど。
もちろん、働いている人には働いている人の苦しみというのがあるというのはわかる。私自身、働く上での苦痛や苦労を経験したこともある。
でも、それとは違う病気の苦しさというのは、どれほど言葉を尽くして説明しても、届かない人にはどうやっても届かないんだな、とつくづく実感するしかなかった。

「世間様」は、私に対して、とても厳しい。
私が、「それなりに努力はしたけど、潰れました」と訴えると、「ちゃんと計画を立てずに、闇雲に努力するからダメなんだ」などとツッコミを入れる。
「病気になったのは、お前の食生活が悪いからじゃないのか」というのも、定番のツッコミだ。

自分の被害妄想も、多少は入っていると思う。
でも、こういう「無限に世間から責められている感覚」というのは、確かに自分の中にあって、それを現実に言葉にしてぶつけにくる人が現れると(たまにいるのだ)、私を責めてくる「世間の声」というのは、妄想なんかじゃなかった、実在するものだった、と改めてショックを受けるのだった。
こんなに苦しんでも、「まだ苦しみ方が足りない」と責められているようで、でももう苦しいのは嫌だ、ラクになりたい、と叫びたくなる。
「世間」の内部にいる人、きちんと社会に居場所を与えられている人には、こういう感覚は、理解しがたいのかもしれない。
逆に、「世間」の外側にいて、苦しんでいる人には、この感覚は、ある程度理解してもらえるんじゃなかろうか。無限に「世間」から責められているような感覚。

私が本当に欲しかった言葉は、「これまでよく頑張ったね。大変だったね。ちゃんと休んで、またできることをやろう」とか、そういう言葉だったんだと思う。
実際にそういう言葉で、私を慰めてくれたのは、これまでに自身も病気や障碍で苦しんでこられた方ばかりだった。これは100%そう。もちろん、病気で苦しんだことのある人皆が皆、優しくて親切ってわけじゃないってこともわかってるんだけど。

「私もあなたと同じように、苦しんでる」というメッセージ。それは、ずっと苦しんできた人でなければ、伝えることができないんだと思う。
精神科医やPSWも、相談に乗ってくれるし、支えてもらえることもあるけど、それとはちょっと異なる。「苦しいのはあなただけじゃない。皆苦しいのよ」という一般論とも違う。
努力しても、休んでも、勉強しても、助けを求めても、それでもどうしようもないことがある。それを経験として知っている人の言葉は、誰のどんな言葉よりも、心に響く。そういうこと、何度もあった。

癌が再発してからの私は、以前と比べて「できないこと」が増えて、苦痛を感じる時間も増えて、落ち込むことも多くなって、これから先「悪くなる」ことはあっても「良くなる」見込みはなく、それなのに、なんで苦痛に耐えてまで生き続けなきゃいけないんだろう? などと考えてしまうことがあった。そんでもって、どんなに考えても、自分が苦痛に耐えてまで生きる理由、というのは見つからなかったんだけど。

でも、今苦しんでいる人、大変な状況に置かれている人に対して、それでも生きてほしい、と私が願う理由は、はっきり説明できる。

苦しんできた人にしか、伝えられないメッセージはあるんだと思う。
「あなたと同じように、苦しんでいる人間が、ここにいる」というメッセージだけが、ほんの少しだけ、私を孤独な苦しみから、解放してくれる。
だから、今苦しんでいる人に、それでも生き続けてほしいと、私は願うのだ。自分と同じような苦しみを味わったことがある人、そういう人が発する言葉に、私は救われてきたから。

最近よく、過去に出会った再発癌の患者さんのことを思い出す。
今から十年以上前、私が癌の初回治療をしていた頃のこと。
患者会で、癌が遠隔転移している方に出会うこともあったし、ネット上で交流があった癌患者さんの「癌が再発した」という報告に接したこともあった。
その当時の私は、彼女たちを慰めたい、励ましたい気持ちはあるけれども、「かける言葉が見つからない」と感じていた。
それでも何とか伝えた言葉が、正解だったのかどうか、今もわからない。

このブログで再発の報告をしたとき、励ましのコメントをくださった方も、同じような気持ちだったのかな、と思う。
「かける言葉が見つからない」中で、それでも言葉でメッセージを伝えようとしてくださった方々には、何度感謝してもし足りないくらいだ。

だから今、自分がこういう状況にあって、それでも私がブログを書き続ける意味があるとしたら。
私が発した言葉が、悲鳴のような叫びや嘆きや呻き声のようなものも含めて、めぐりめぐって、いつかどこかで誰かの心を温めることができるかもしれない。そのとき、その誰かも、私自身も、ほんの少しだけ、孤独から解放されるかもしれない。そういう、ささやかな願いのようなもの。
自分にとって、本当に心から「書きたいこと」があるとすれば、それだけだと思う。

そんなわけで、ぼちぼちとですが、ブログを再開することにしました。
といっても、書くのは身辺雑記とかで、たいした内容にはならないでしょうが。
よかったらこれからも読んでやってください。






| ●月ノヒカリ● | その他雑文 | comments(4) | trackbacks(0) |
2017.10.20 Friday 00:18
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Comment
2016/08/09 3:16 PM posted by: 雪月
ヒカリさん、こんにちは♪
今回の記事を読んで、あまりにも共感出来てしまって、
どこをどうコメントすればよいのか分からなくなりましたw(-_-;)
(もっと表現力を身につけたいです…。)
なのでひとつだけ。

>ブログを書き続ける意味があるとしたら。

意味はあとからついてくることもありますし、
とやかく言う人がいても気にせずにゆきましょう。
私には十分に救われているブログです。
(軽い言葉しか出てこなくてごめんなさい。汗)
これからも読みますよ〜

暑い日が続いてますが、どうか少しでも快適に過ごしてくださいませ。
ではまた〜
2016/08/09 8:30 PM posted by: ノラ
再開嬉しいです。

甘えとか頑張っていないとか、思わないで下さい。
世の中にはそう言う人もいるでしょうが、どんなことをしても悪く言う人は一定数存在します。無視しましょ。
ほとんどの人はそんなふうに思いません。
ヒカリさんの場合、甘えとかの真逆だと思います。頑張っておられる様子をブログで知ると、私も励まされます。

誰でも、いつまでも痛みや病気、ケガすることなく過ごせるわけではありません。どんなに順風満帆そうに見える人でも、何が起こるか分かりません。
自己責任論は、そういう意味で、危険ですよね。

食べ物とかは、若年層では、ほぼ関係ないです。中高年ですら、タバコをスパスパやってても90まで生きる人もいます。肥満でも長生きの人もいます。
2016/08/10 4:56 PM posted by: 月ノヒカリ
☆雪月さん

こんにちは。
共感してくださって嬉しいです。
私もまた、雪月さんからいただいた言葉に、何度も励まされたし、救われました。

「とやかく言う人」については、癌の再発以降はさすがに減ったのですが、何年も前に言われたことでも、傷として残っていることがあるんですよね。
自分が苦しんでいること、それでもなんとか頑張ってきたこと、そこを否定されるのは、本当にキツかったです。

>意味はあとからついてくる

そうかもしれないですね。
とりあえず、できることをやっていくことにします。

雪月さんも、どうかお体大切に。これからもマターリお付き合いいただけると嬉しいです♪


☆ノラさん

こんにちは。

>ほとんどの人はそんなふうに思いません。

そう言ってくださって嬉しいです。
責められるような言葉って、実際に言われることは少ないのですが、そう言われたとき、「大勢(世間全体)に責められている」ような感じがしてしまうんですよね。どうでもいいことなら聞き流せるのですが、自分がずっと苦しみ続けてきた、まさにそのことについて責められると、本当に、具合が悪くなるレベルのしんどさがあって。

ノラさんのように、はっきり言ってくださる方がいて、心強く思いました。
ブログに書いたおかげで、私の方が助けられていますね。
ノラさんにブログを読んでいただけたこと、オフ会でお会いできたこと、本当によかったと改めて思いました。


お二人とも、コメントありがとうございました。それではまた。
2016/08/15 10:47 PM posted by: -
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