2010.01.04 Monday 21:43
2chクラシック板初心者質問スレよりコピペ
Q:指揮者って何をするんですか? メトロノームがあればいいのでは?

A:指揮者の仕事の少なからざる部分は、リハーサルの時点で終了しています。すなわち、どのようなテンポでどのような強弱や表情を付けるのかといった、いわゆる解釈について楽員に指示し、時に話し合うことにより、統一的な解釈を作り上げるのが指揮者の主たる仕事です。解釈が統一されていなければ、演奏が空中分解してしまうからです。

のだめ、23巻で完結しましたね。
以前『のだめカンタービレ』22巻の感想を書いたときに、予告したことのオトシマエつけます。
二ノ宮先生、すみません。私、ずっと「のだめ」をなめてました。
「のだめ」がパリ留学編に突入した後も、「ラストは日本に帰国して、R☆Sオケで千秋とのだめが共演して、めでたしめでたし。」という予想をしておりました。
でも、予想はあっさり裏切られました。それも読者としては嬉しい方に、裏切ってくれました。そんな甘い漫画ではなかったです、のだめは。

私が「のだめ」を本格的なクラシック漫画だと感じた瞬間とは?
それは、「のだめ」16巻を読んだときのことです。
16巻は、ほとんどまるまる千秋のマルレ・オケでのリハに費やされている。
ルー・マルレ・オーケストラは、歴史はあるけど、財政難および演奏の質低下で、客にも見放され、つぶれかけたオーケストラだ。指揮者コンクールで優勝した千秋は、そこの常任指揮者になり、オケの立て直しに尽力することとなる。その過程が、すごく面白い!
いや、リハーサル場面を面白く描けるって、すごいことだと思うんですよ。

カルロス・クライバー(1930〜2004)という、ちょっと変わり者だけどカリスマ的な指揮者がかつて存在したのですが。彼の指揮姿は、まるでダンスを見ているみたいにリズミカルで、見る者を惹き付ける不思議な人でした。 (動画はこことかここで。)
そのクライバー40代の頃のリハーサルの映像が残っているのですが。これが見てビックリでした。短い曲に、細かく、ときにユーモアを込めてオーケストラに指示を出すクライバーの姿に、改めて、一つの音楽を創りあげるためには、大変な労力と時間がかけられているのだな、と気づかされます。
あと、指揮者って結構、筋力が必要なんですね。痩身に見えるクライバーの半袖の腕に、意外と筋肉がついているのを見て、萌えましたよ。私は。

と脱線しましたが、千秋の指揮のリハーサル風景を見ながら、そんなことを思い出しました。
それから、マルレ・オーケストラの団員がまた個性的で楽しいのです。
副首席よりヘタクソなチェロ首席とか、袖口だけで袖のないシャツを着ている謎のバイオリニストとか、ファゴット募集なのにバソンでオーディションに乗り込んだ奏者とか。

しかし何よりも、コンマスの存在が大きい。
のだめ13巻のカバー見返しに、二ノ宮先生の「今回とっても好きなキャラがいます。さて、誰でしょう?」というコメントが載っていたのですが、誰だかわかりましたか?
私は、13巻の時点では、わからなかったんですよ。
でも、16巻まで読んで、確信しました。
コンマスのトマ・シモン氏ですよね!絶対!!
13巻登場時には、顔もでかけりゃ態度もでかい、コワイ人だなーという印象で、「まさかこの人じゃないだろう」と思っていたのですが。
実際、彼のせいでオケのメンバーが辞めていったり、指揮者と上手くいかなかったり、ワンマンな困ったコンマスなのですが。
それもこれもトマ・シモン氏が、音楽を、マルレ・オケを深く愛する故だったのだ、と16巻まで読めばわかります。
ここまで読んでやっと私は、つぶれかけのマルレ・オケも、コンマスのことも、本当に大好きになって、演奏会が楽しみで、ワクワクしてきたのですよ。

その16巻の中で、私がいちばん好きなエピソードをひとつ。
定期演奏会の日、ヨボヨボの杖をついたおじいさんが足をガクガクさせながら客席に座るんですけど、席についたとたん、おじいさんは急にシャキンとして音楽を聴く姿勢になるんですよ。このおじいさんは、もう何十年もこうしてマルレ・オケの演奏を聴き続けてきたんだろうな、と。このおじいさんのような客が、マルレ・オケを育ててきたのだろうな、と。そういう聴衆の存在も含めての「伝統」があるんですね。マルレ・オケには。
それはすごく「贅沢」なことだと思う。

クラシック音楽って、日本ではどうしても「外来の」音楽という感覚が抜けないけど、ヨーロッパでは、ホールや聴衆も含めての「歴史と伝統」がきっと今も息づいているのだな、と眩しく感じてしまいます。

「のだめ」は昨年秋、23巻をもって完結しました。
完結巻では、のだめが「何があっても音楽とともに生きていく」という決意をしたところで、終わる。
子どもの頃から「音楽家になる」と決めていた人にとっては、「何を今さら」な決意かもしれないけど。
のだめは、その決意に至るまでに、23巻分、かかったんだなあ。
「自分はこっちの道に進む」と決心すること。その覚悟を決めること。
それはまだ「出発点に立った」ということに過ぎないのだけど。

それでも、そういう迷いや苦しみも含めて、のだめや千秋が、真剣に音楽と向き合う姿を描いてくれた『のだめカンタービレ』は、少女漫画史上に残る傑作だった、とつくづく思うのです。

のだめカンタービレ #23 (講談社コミックスキス)      
| ●月ノヒカリ● | 漫画感想 | comments(4) | trackbacks(9) |
2020.02.17 Monday 21:43
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Comment
2010/01/05 12:14 AM posted by: 村野瀬玲奈
のだめ、まだ読み終わってないですけど、この記事を読んで思い出した、どこかで聞いた笑い話を一つ。

ある名門オーケストラでのリハーサルで。若い指揮者がいちいち演奏を止めて注文をつけるので、いらいらした団員の一人が立ち上がって言いましたとさ。
「今度演奏を止めたら、あんたの指揮棒の通りに演奏してやるぞ。」

...それはともかく。のだめはまだ途中までしか読んでませんけど、たしかに面白いです。月ノヒカリさんの「のだめ」の記事、これでおしまい?月ノヒカリさんの「のだめ」の記事ももっと読みたいですね。
2010/01/07 11:46 PM posted by: 月ノヒカリ
玲奈さん、こんばんは。

>「今度演奏を止めたら、あんたの指揮棒の通りに演奏してやるぞ。」
笑いましたw
名門オーケストラなら、ありそうな話ですね。
カラヤンとベルリンフィルの間でさえ、諍いはあったそうですから。

よろしければ、次の記事のドゥダメル&SBYOの演奏も聴いてみてください。

>「のだめ」の記事ももっと読みたい
ありがとうございます〜。
しかし、一応書きたいことは全部書き尽くし、あとは、キャラ萌え話くらいしか出てきません(笑)
他の漫画の感想は、そのうち書くかも。

コメントありがとうございました〜。
2015/03/31 11:19 PM posted by: 山田◎σ
のだめ、面白かったですね。
コメントは、全然関係ないところに反応したので。
指揮者さんの筋肉。

私は、梓さんがピアノの演奏するときの腕の筋肉が好きでした。
もちろん演奏はちゃんと聞いていますが、目は筋肉を追い掛けている感じ。

そういえば、今好きな歌手さんのライブの感想書いたときも、頬や顎の筋肉の動きのことを書いたなぁ。

ぜーんぶ読みたい病が発症しそうな感じになって、変なタイミングのコメントですみません。

2015/03/31 11:48 PM posted by: 月ノヒカリ
山田◎σさん、こちらでもこんばんは。

懐かしの「のだめ」感想、読んでくださってありがとうございます〜。
指揮者も筋肉が必要なら、ピアノを弾くのにもやっぱり筋肉は必要なんでしょうね。

私も、ムキムキの筋肉には興味ないですが、適度についたしなやかな筋肉には憧れます。

ブログ全部読んでくださっても、何も出ませんが(笑)、どうぞごゆっくりなさっていってください。

コメントありがとうございました〜。それではまた。
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2010/01/09 12:20 AM posted by: おぼろ二次元日記
ついに完結!「のだめ」の23巻(最終巻)を読みました♪のだめカンタービレ#23限定版個人的な好みではありますが、この作品についてはアニメよりもドラマのほうが好きなので(ミルヒーは笑ってしまいますけどね!)DVD付きを購入しました♪玉木君@千秋!まずは本
2010/01/09 1:27 AM posted by: おかいものあんてな
評価[★★★★☆]ラストスパートの巻。賛否両論あるラストですが、原点への回帰の形だからこその広がりと可能性を残した内容でした。映画の最終楽章も楽しみ。
2010/01/09 1:14 PM posted by: shaberiba
のだめカンタービレ #23 (講談社コミックスキス)(2009/11/27)二ノ宮 知子商品詳細を見る シュトレーゼマンとの共演は大成功に終ったのに・・ --も...
2010/01/09 3:55 PM posted by: なまけもの・のーと
パリに戻ったのだめは、作曲科のヤドヴィと、子供たちに曲を作ったり演奏したりして楽しい時間を過ごします。昔ののだめに戻ったよう。 千秋...
2010/01/09 7:20 PM posted by: DolceVita
「のだめカンタービレ」23巻が発売になりました。番外編は続きますが本編はこの巻で終了です。 【送料無料】のだめカンタービレ23巻 通常版 (11月27日発売)【otoku-n2730】)のだめカンタービレ23巻初回完全限定版アニメDVD付き(書籍)[講談社]《発売済・在
2010/01/10 2:15 AM posted by: 今夜、地球の裏側で
 ついに「のだめ」最終巻!  この巻はもうストーリーの収束で終始しているので、前巻からの大きな変化っていうものは特になし。千秋は父親となんとなく和解しているし、シュトレーゼマンもまだまだ現役続行。最後にうわーっとはっちゃけて終わるとか、もうひと山場欲
2010/01/10 3:43 AM posted by: 伊達でございます!
シリーズ最終巻。表紙の「のだめ」が演奏する楽器は、第1巻と同じくピアノながら、第1巻とは違って、迷いのない目線をこちらに向けた、晴々とした表情をしているのが印象的。
2010/01/10 7:09 PM posted by: TALKING MAN
のだめカンタービレ THE LAST LESSON(ネタバレ) 扉絵(駅に立つゆうこ、ジャン、リュカ、Rui、ユンロン、フランク、真澄、千秋、のだめ、ターニャ、清良、峰、その後ろにポール、黒木くん バックのボードにTO NEXT STAGE Good Luck! Nodame Cantabile)
2010/11/19 2:36 PM posted by: 漫画情報サイト
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