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2009.07.31 Friday 15:05
(1はこちら。)
「私にとっての栗本薫1」とは全く繋がりがないけど、これもどうしても言っておきたかったこと。
グインサーガ123巻のあとがきで、栗本薫は、病人に「元気そうですね」という言葉をかけないであげてほしい。自分は「元気そうですね」と言われると複雑な気持ちになる、って書いたのね。それに対して、某2chの某スレで、「元気そうですね」って言われて文句いうなんてひねくれてる、みたいなカキコミが相次いだことがあったんですが。
私も、癌患者の一人として言わせてほしい。私も癌の治療中に「元気そうだね」って言われるのつらかった。
元気そうに見えるかもしれないけど、頑張って元気そうに振る舞ってるだけで、ちっとも元気なんかじゃないんです。 心は折れそうだった。
ある癌患者が、「強風にあおられながら綱渡りをしていうような状態」って表現してたけど、まさにそんな感じだった。
本当は愚痴のひとつも言いたいんだけど、「元気そうだね」って言われると、何も言えなくなってしまう。
「じゃあどんな言葉ならいいの?」って聞かれると困るんですが。「頑張ってね」という言葉も、ときにはつらいこともあるし。(こんなに頑張ってるのにこれ以上どう頑張ればいいの、みたいな)
かくいう私も癌患者さんに「元気そうですね」と言ってしまうことあります。そうしたら、「実は薬の副作用のせいか辛くてね」って打ち明けられることがよくある。
別に悪気があって「元気そうだね」って言ってるわけじゃないんだよね。「元気でいてほしい」と思うから、つい口に出ちゃうわけで。
だから、私は病人に対して「元気そうだね」って言ってはいけない、とは思いません。心配してくれる気持ちは嬉しいから。
ただ、病人って、身体がボロボロに酷使されてる状態だから、ちょっとしたひと言で傷ついたりしちゃうんです。それ、ちょっとだけ心に留めておいてもらえると嬉しい。
今思い出したんだけどさあ、私も抗がん剤治療中は、食べ物のことばっかり考えてたよ。抗がん剤の副作用で、食べた途端、ゲーゲー吐いちゃってね。すごーくお腹がすいてるのに、ほとんど何も食べられなくて。
だから私は、抗がん剤やってる間、テレビのグルメ番組ばっかり見てた。「治ったらアレ絶対食べてやる」って、そんなことばっかり考えてた。
入院中もそう。ベッドで寝てるしかないから、食事の時間くらいしか楽しみがないんだよね。
私は薫みたいな、再発(遠隔転移)した癌患者ではないので、あなたの苦しみをすべて理解できるわけじゃない。でも少しだけ、わかるよ。
癌になったら、世界がいつもと違って見えた。花や木がやけにキラキラして見えて、溺れそうな心を慰めてくれた。
あなたはあまり弱音を吐かない人だったから、「苦しい」とか「つらい」とか、あんまり書いてなかったけど、書いてないだけですごく苦しいこと、たくさんあったと思う。
でもあなたは最後まで立派に癌と闘い抜いた。あなたもまた、見事な女戦士だった。
作家としては残念な最後だったけど、癌患者としては、本当に立派な最期だったと思う。
私は十代の頃あなたのファン、というよりは信者だったこと、ちっとも後悔してないよ。むしろ誇りに思っている。
薫の話、まだ続ける予定です。
ブログ主の自分語りに辟易した人、拍手。 -
2009.07.30 Thursday 21:55
そろそろ梅雨明けしてくれなきゃ脳にまでカビが生えそう、などと思う今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。月ノヒカリです。
「私にとっての栗本薫」の続きをうpするつもりでパソコンに電源を入れて、ちょっと魔が差して2ちゃんねるの薫関連スレ読んでたら、急に怖じ気づいた。たぶんこれから私が書くことも、かなりキモイ自己陶酔入った文になるはずです。
だって薫信者だってことは、中二病患者とイコールで。
「自分にとっての栗本薫」を書くってことは、「イタい中二病の自分」に向き合うことに他ならない。だから、私がこれから書く栗本薫論は、キモイ自分語りにならざるを得ないのであった。などと先に言っちゃうところが、ダメ人間なんだろうなあ。私。
あーグインについては、まだまだツッコミたいことたくさんありますが(「お前の味」の衝撃は一生忘れん。読んでないけど)、まあそれは他所でも言われてることなので、私が書く必要もないかな、と。
私の薫論、続きます。
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2009.07.28 Tuesday 17:44
前回までのあらすじ。
私、月ノヒカリさんは十代の頃、栗本薫の信者でした。訃報を聞いたときは、うなぎさんの追悼文を読んで満足してたけど、やっぱり今になって「自分にとっての栗本薫」を語りたくなったので、書き始めることにしました。
で、グイン・サーガですよ。
もう何年もリアルでグイン読者と話したことないんだけど、もし話すことがあったら、盛り上がるのかなあ? やっぱり愚痴大会になりそう。 私に「グイン読め」としつこく薦めてくれたMちゃん、元気にしてますか?
というわけでお題は
「あなたはグインサーガ、どのあたりで嫌になりましたか?」
* * * * *
私は、かなり長く、我慢強く、つきあってた方だと思う。巻数で言えば123巻まで読んだ。いや、途中抜けてる巻とかけっこうあるし、80巻あたりで一度離脱してるけど、また復帰して読み始めたし。10巻分まるまる読まなくても、ストーリー上何の問題もなかったです。
私がいちばん許せなかったのは、シルヴィアの扱いがひどすぎたことだと思う。ユリウスによってキタイに誘拐されたシルヴィアの、その後が残酷すぎた。
グインサーガに登場する女性キャラのうち、もっとも悲惨な運命だと思うのは、アムネリスとシルヴィアだ。
特にシルヴィアは、私には可哀想でならなかった。
市井に生まれていれば、ごく普通の、ちょっとワガママな女の子として、平凡だけど幸せな一生を送っていたかもしれないのに、ケイロニア皇帝家のただ一人の跡取り娘として生まれたために、重い運命を背負い込むことになってしまったシルヴィア。父も母もシルヴィアを政略結婚の道具としてしか扱わず、彼女の居場所はケイロニア宮廷のどこにもなかった。
私から見たらシルヴィアは、「拉致・監禁され、クスリ漬けにされ、執拗にレイプされ続けた性犯罪の被害者」だ。異論はあるかもしれないけど、そう考えなければ、グインに救出されケイロニアに戻るとき、あれほどまでに錯乱して「タイスで娼婦になってやる」と叫んだことの、説明がつかない。
シルヴィアにはわかっていたんだろう。ケイロニアに戻ったら、皆からどのような視線を浴びるのかを。
実際、父であるアキレウス帝にしろ、宰相ハゾスにしろ、シルヴィアへの態度は、「性犯罪の被害者」に対する配慮なんてなかった。彼女を「汚れたもの」として扱った。
宮廷中から冷たい視線を浴びる中で、シルヴィアはたった一人で闘わなければならなかった。自分のプライドを保つために。
そう、グインのように剣を持って戦いはしなかったけど、シルヴィアもまた、誰一人味方のいないケイロニア宮殿で、ただ一人、闘い続けた女戦士だったのだ。
ただ、シルヴィアは無力で、賢くもなかったから、あのような闘い方―――街に出て、手当たり次第に男と寝て、ケイロニア皇帝家の体面に泥を塗るという―――しかできなかった。
でも、シルヴィアが心弱く、愚かだったからといって、誰が彼女を責められるだろうか?
私は、栗本薫はシルヴィアのような「弱者」の味方だと思っていた。だってシルヴィアは、かつての栗本薫の、あるいは私たちの姿ではないのか?
ケイロニアという豊かな国に生まれ、物質的には不自由なく育ったお姫様で、プライドだけは高くて、でも現実的な力は何一つ持たず、いつも愛情に飢えていたシルヴィア。ごく平凡な少女なのに、ケイロニア皇帝家の跡取りという重責を背負わされ、でもその苦しみを誰にも理解されなかったシルヴィア。
これってかつての薫自身のことじゃないの?
薫は少女時代ずっと、自分を抑圧された不幸な弱者だと感じていた。『優しい密室』の森カオルがそうであったように。
私は薫を、同じように抑圧された弱者である少女たちの「代表」だと思っていた。だからこそ、私たちは薫のもとに、「JUNE」という当時としては異端の雑誌に集ったんじゃないの?
そのシルヴィアに対するひどい扱いを見て、私は「裏切られた」と感じました。シルヴィアが売国妃となる運命そのものは変えることはできなくても、もう少し何とかしてあげられたはずじゃない? だってあなたは作者なんだから。
そのせいで私はグイン読むのやめました―――――ってわけではなくて、それでも読み続けるつもりだったんだけど、あまりにも文章がgdgdで読むに耐えなくて、読めなくなったというのが事実です。その数ヶ月後に栗本先生は鬼籍に入られ、グインサーガは未完に終わることに相成りました。でもまあ、「うなグイン・サーガ」(傑作です。正史に決定)を読んでスッキリしたので、グインはもういいや。
栗本薫については、まだまだ書く予定です。
とりあえず67巻「風の挽歌」で読むのをやめたアナタは勝ち組。 -
2009.07.27 Monday 15:33
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2009.07.24 Friday 20:25
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