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2011.08.30 Tuesday 00:04
あの『デスノート』を生み出した最強タッグが、少年ジャンプに連載するマンガ家マンガ。
「バクマン」というタイトルは、「ばく進!マンガ道」の略だと勝手に思っている。
中学の同級生である真城最高(ましろもりたか・通称サイコー)と高木秋人(たかぎあきと・通称シュージン)が、それぞれ漫画の作画者と原作者として、「少年ジャンプの人気漫画家になる」という夢を実現していくという――これはどこまで実話なんだろう?などと深読みしたくなる話だ。
私はかつて『デスノート』にめちゃくちゃハマったので、『バクマン』も開始当初から期待していたのですが……最初の頃はあまり好きにはなれなかったのですよ。作中の恋愛要素とか、女の子キャラがイマイチだったし。 だから1〜2巻は「少年ジャンプの内幕暴露マンガ」として興味本位で読む、というスタンスだった。
私はあまりマンガ業界に詳しくないのだけど、「週刊少年ジャンプ」は漫画界の頂点に立つ雑誌で、徹底したアンケート至上主義、読者アンケートで下位だった作品は容赦なく打ち切る、という編集方針は有名だ。
『バクマン』では、ジャンプの内幕――アンケートの集計方法とか、作家との契約システムや原稿料の額、さらには漫画の新連載・打ち切りを決める編集会議の様子などが、かなりリアルに明かされていて、そのあたりは興味深かった。
でも、3巻あたりからかな。「うお、この漫画おもしろい!」と興奮するようになったのは。
「ジャンプに連載したい」と競い合う、ライバル漫画家たちがとにかく魅力的なのだ。
まずは、高校生でジャンプに連載を始めた天才漫画家・新妻エイジ。
なぜか背中に羽根ペンをつけている変人キャラだ。
計算してヒット作をつくろうとするサイコー&シュージンとは逆に、「自分のセンスで描きたいように描いて、それが人気作になる」というタイプの天才だ。
それから、「俺たちがジャンプを変えてやる!」と熱く叫ぶ福田真太。
この熱い兄ちゃん、やたら編集者に喧嘩をふっかけるので、福田が登場すると話が派手に盛り上がる。
超ネガティブ思考で「連載休みたい。仕事したくない。」が口癖の平丸一也。
この平丸と担当編集の吉田氏との掛け合い漫才のような会話は、この漫画いちばんの笑いどころ。なかなか描こうとしない漫画家をおだてたりすかしたりして、なんとか原稿を確保しようとする編集者、本当に存在するのかもしれないなあ。
とまあ他にもたくさん登場するんだけど、漫画家・編集者のキャラはたまらなく魅力的だ。
……しかし、この漫画の読みどころは別にある。
というのは、前述のように主人公のサイコー&シュージンは、「計算して作品をつくり、人気を取りにいく」タイプなのだが――彼らの語る漫画論、というかジャンプ分析がすごく面白いのだ。
ジャンプの王道といえば、「友情・努力・勝利」を軸にしたバトル漫画で、その代表的な作品は『ドラゴンボール』や『ワンピース』になるだろうか。
一方、サイコー&シュージンは、「邪道」な作品でこそ本領発揮できるタイプなのだ。
例えば、彼らのデビュー作である『この世は金と知恵』は、「人の頭の中をお金で売り買いする世界」を描いたものだ。
・・・このあたり、『デスノート』をヒットさせた作者・大場つぐみ自身に重なる。というか、どうしても重ねてみたくなってしまう。
そして最新刊である14巻では、分析と作品そのものが、まさに一致した場面が描かれていた。
私が今回、とりわけ感動したシーンだ。
――まず、サイコーとシュージンの会話で、自分たちの今後の方向性として「邪道な王道バトル」をやってみたい、という伏線があった。
単なる「邪道バトル」なら、『デスノート』の心理戦なんかがそれに当てはまるのだろうけど。
「邪道な王道バトル」ってどんなものだろう?
それがこの14巻の終わりの方に、まさにそんなシーンが出てくるのですよ。
主人公ふたりと、とある「新しいやり方」でジャンプ連載を勝ち取った新人漫画家・七峰透(おそらくこの漫画初の「悪役」)との“バトル”だ。
その七峰の「新しいやり方」というのは、プロから見たら「道にはずれたダメなやり方」で。
サイコ&シュージンは、プロとして「自分たちの作品をより面白くすることで、七峰に勝つ」ことを宣言するのだ。
ただ単に、両者が携帯で会話するだけなんだけどね、シュージンが七峰に「自分たちの漫画で、お前の作品を叩き潰す!」とぶちかますシーンには、胸が震えた。
携帯電話でタンカ切ってるだけのシーンなのに、もの凄くカッコいいのだ。
これぞ「邪道な王道バトル」そのものではないか。
七峰のやり方が本当にダメなのかどうか、私にはわからない。もしかしたらこれから先、七峰のような漫画家も現実に登場するかもしれない。
でも、やっぱり『少年ジャンプ』には、王道を進んでほしいと私は思うんだけど……これはぜひ、14巻を読んだ皆さんの考えを聞いてみたいな。
ジャンプのような「読者の人気が取れればいい」「売れればいい」という商業主義を快く思わない人もいるかもしれないし、自分もかつてはそう思っていたんだけど。
でもやっぱり、ジャンプは凄いよ。
ふと、岡田斗司夫の著書『遺言』に、「富野由悠季は妥協しまくって『ガンダム』や『イデオン』を作った。妥協しない、完璧主義者なんて優等生のお坊ちゃまだ。」(P.163)という一節があったのを思い出した。
描きたいものを描かせてもらえなくて、編集者と喧嘩して、様々な制約や妥協がある中で、なお読む者をねじ伏せる面白い漫画を産み出す。そうして世に出た作品こそが、本当の意味での「傑作」ではなかろうか。
『バクマン』は、そういう意味でも、間違いなく傑作だ。
「邪道で王道」な感動を味わいたい人は、ぜひ読んでみてください。
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2011.08.25 Thursday 23:08お〜待〜た〜せ〜しました〜。
先月のブログ二周年企画で、皆様からご紹介いただいた面白サイトをまとめました。
そもそもこんな企画を思いついたのは、「このブログを見にきてくれる人ってどんな人なんだろう?」という疑問(あるいは興味)が、ブログ主にはあるからなんですね。
去年やったブログ一周年企画のときに、皆様からある程度の回答はいただいて、ちょっとだけ、ここに来てくれる人のことを知ることができたのですが。
今回の二周年企画もその延長で。
「本棚を見ればその人のことがわかる」といいますが、本棚の代わりにブックマークをちょこっとでも見せてもらえたらいいなー、と思って始めた企画でした。
そのごく一部を、今回皆様におすそわけします。
たくさんサイトを紹介してくださった方もいたのですが、ブログ主の独断で数を絞りました。
あと、個人ブログについては、月ノヒカリの趣味で、いちばん印象的だったエントリを一つだけピックアップしました。
では、↓からどうぞ〜。 -
2011.08.20 Saturday 22:24ご無沙汰いたしております。一週間が過ぎるのは速いなあ。
今日は、「ブログ二周年企画」で皆様にご紹介いただいた面白サイトまとめをUPしようと思ってるんですが……思ってたんですが……。
夏バテでアタマが働かないので、月ノヒカリは現在夏眠中です。
冬に動物が巣にひきこもるのを冬眠、夏にひきこもるのは「夏眠」というのです。いま決まりました。
そんなわけで、更新が遅れがちです。ごめんなさい。
今回は予告編というか、次回記事の前口上だけ、先に公開しておきます。
ここを読んでくださっている皆様、2周年にお祝いの言葉をくださった皆様、拍手やコメントをくださった皆様、いつもありがとうございます!
ブログを続けてこられたのも、そんな貴方がいてくれたから―――これマジです。
そんで、いただいた拍手コメントには、「レス不要」にチェックされている方を除いて、月一回くらい拍手レスコーナーでまとめてお返事書いています。
「拍手コメントを送ったことがある」という方は、たまに拍手レスカテゴリを覗いてみてくださいね。っていつも読んでくださっている方には、今更ですが。
でも本当に嬉しいんですよ。コメントもらえるのは。
ところでその拍手コメント、「レス不要」にチェックされる方は、遠慮深いのだろうか?それとも恥ずかしがりやさんなのだろうか?―――そんなに恥ずかしがらなくてもいいのにw
もちろん、レス不要のコメントも有り難く読ませていただいてまっす!
あと、なかなかお礼を言う機会がなかったのですが、このブログのリンクからAmazonでお買い物してくださった皆様にも感謝です。
アフィリエイトでひと稼ぎ―――とはほど遠いのですが、ブログ主の元には数ヶ月にいっぺんくらい、Amazonからギフト券が送られてくるようになりました。
そのおかげで月ノヒカリは、密林で漫画や本を購入することができ、読書感想カテゴリを更新することができます。
あと、残念なお知らせ。
ちょっと前に拍手コメントでしらさんからご紹介いただいた海外ニートさんのブログ、閉鎖されたようです。(有名ブログだったのでご存じの方も多いでしょうが……。)
あああ、すごく面白いブログだったのに!皆に読んでほしかったのに!
人気エントリだった「自分、もしくは家族の健康にも優先する仕事なんてこの世に一つもない。」なんかはマジで正論だよなーと思ってました。
ああ、魚拓とっておけばよかったよ……orz
このブログは、海外ニートさんにはとても及ばない弱小ブログですが、更新も遅いのですが、貴方がたまーにでも覗きにきてくださるだけで、ブログ主はちょっぴり幸せになります。
というわけで次回の更新、もうしばらくお待ちください。o(__)o......zzzzzzzz
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2011.08.13 Saturday 22:59私は中学生の頃からずっと自殺願望を持っていて、今も持ち続けているという話は、これまでも何度か書いた。
それ以後、たまに「自殺願望を持っている/いた」という人からコメントをいただくことがある。あまり表には出てこないだけで、自殺願望をもつ人は結構いるみたいだ。
一方で、「生きることは素晴らしい」と心底思っている人には、「自殺したい」なんて気持ちは理解されないんだな、とも感じている。
「自殺願望」に対するアドバイスの定石は、「精神科を受診しましょう」というもので、それは正論なんだけど。
私のように、もう十年近く精神科に通院していて、それでも自殺願望が無くならないという人間には、的外れのアドバイスだと思う。精神科医に相談したら「薬を増量しましょう」で終わっちゃうし。
万人に効くような「自殺願望が消える薬」なんて存在しない。
でも一つだけ、比較的よく効く薬がある。「死にたい」という思いを「言葉にして表に出す」ことだ。
ずっと以前、自殺についての話をブログに書き始めたときに、批判的なコメントをもらったこともあるし、読んで不快になる人もいるのかもしれないけど……。
でもやっぱり、書かせてほしいなあ。
自殺願望をもつ人は、多数派ではないだろうけど、少なからずいるみたいだし。
「ネガティブな感情は表に出すべきではない」というのが日本人の美徳みたいだけど、私は、感情はちゃんと表出した方がいいと思うんだよね。ただ、「ところかまわず、誰にでも」表出していい、というわけではないから、難しいんだけど。
・・・で、今から私の自殺願望について書きます。
いま精神的に不安定な人は、ネガティブ波に感染しないように気をつけてくださいね、ということで以下折り畳みます。 -
2011.08.08 Monday 22:37
すごく面白かった、とは言い難いけど、素通りできない作品だった。タイトルもテーマも。
何度かブログに感想を書こうと試みたものの、うまく書けなくて保留にしてあったんだけど……。
つい先日、ノルウェーのテロ事件のあと、ふと思い出して読み返してみたら、おぼろげながら自分が感じとったものを言語化できるような気がしたので、書いてみる。
この物語の核にあるのは、主人公の「絶対的な孤独」だ。
「絶対的な孤独」というものに私は既視感があって、例えば『デビルマン』(永井豪)の不動明、あるいは『百億の昼と千億の夜』(私が読んだのは萩尾望都による漫画)の阿修羅王を思い出した。
「私=主人公」が、家族も友も仲間もないまま、ただ一人「世界」の不条理に立ち向かうという、セカイ系の孤独。
『必要とされなかった話』の主人公・織春(おりはる)の孤独も、そういう種類のものだ。
以下、「必要とされなかった」の意味も含めて、ネタバレしまくりなので折り畳みます。 - ←新しい記事 1/2 pages 古い記事→