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2014.09.16 Tuesday 23:48
これまで何度も書いたことだけど、自分の言いたいことって、なかなか人に伝わらないものだな、と感じていた。
これはリアル生活でずっと感じてきたことだけど、ネット上でも事情はそんなに変わらなくて、やっぱりなかなか真意は伝わらないものだ。

このブログでも、自分なりに一生懸命書いた文章が「ちゃんと理解してもらえた」という手応えを感じることは、そんなに多くない。体感的には、一エントリにつき一人か二人、ちゃんと受け止めてくれる理解者がいるかどうかってところで。
しかも、自分としてはわりと「当たり前のこと」を言っているつもりなのに、「斬新な意見ですね」みたいな感想をいただくこともあって、そんなときはもうビックリ仰天、「私の常識は世界の非常識」だったんだなーと思い知らされました。思い知らされましたよ。ええ。

でももし私がブログに書かなかったとすれば、理解者はゼロだったわけで。
だから、たとえ一人か二人にしか読んでもらえなくても、書くことに意味はあったと思う。

自分は本当に、とりたてて取り柄のない人間ですよ。頭がいいわけでもなく、それほど読書家でもなく、人より秀でた専門分野があるわけでもなく、いい経験を積んできたわけでもなく、ディープな趣味を持っているわけでもない。いろんな意味で、ぬるい人間です。

そんで、ネット上には、私なんかよりずっとずっと頭のいい人・アクの強い人がたくさんいるわけです。
それどころか今の時代、第一線で活躍している学者の先生方が、Twitterやブログで発信されているわけですよ。 ためになるネット記事もたくさんあります。
私もそれらを読んで、感心したり、学ばせてもらったり、しています。
でも一方で、反発を感じることもあるだよね。

例えば、フェミニズムの先駆者・上野千鶴子先生は、今の日本で最高レベルの知性をお持ちの方だと思いますが、その主張を見聞きするとき、庶民としては納得できない面もあるわけです。
もはや旧聞に属する話だけど、半年ほど前、上野先生のネット記事「女子力を磨くより、稼ぐ力を身に付けなさい!」が、Twitter等で軽く炎上したのです。
私もまた、この記事の前半部分には同意するものの、後半部分を読むと何とも言えない違和感が湧き起こってきて。この件については、上野先生に反論された方の、「今の時代、稼ぐためにこそ女子力が必要とされるのでは?」という意見に、より説得力を感じました。
上野先生の現状分析はおそらく正しいのだろうけど、「稼ぐ力を身につけろ」発言は、ある種の人間にとっての地雷を踏みまくってるんですよ。例えば、自分みたいな、病気になって稼げなくなった人間にとっては、夢も希望もないオチだなって感じで。「上野センセイ、何にもわかってない!ムキーッ!!」みたいな気持ちになるんです。

で、以前の私はそういうとき、ちょっとガッカリしてたと思うんです。「これだけ頭のいい人にも、自分たちの気持ちは理解されないんだ」みたいな感じで。
でも今の私は、そうではない。理解されないことは、むしろ希望なんじゃないかって思える。

「頭のいいエリート」の先生方には、見えていない風景もあるんじゃないか? ということは、つねづね感じていたのだった。
自分みたいな、三流の人間にしか見えないものもあるんじゃないかって。
そしてそれは、私自身が語らなければならないことなんじゃないか、そうしなければ問題を俎上にあげることもできないんじゃないかって。

そう思えるのは、今の私にとっては「希望」なんです。
「私が言わなければ、他の誰も理解してくれない問題がある」ということは、まだ自分にも、この世で「やらなければならない仕事」が残ってるんだな、と思えるから。

もちろん、私も決して視野の広い人間じゃないから、自分に見えていないものはたくさんあると思う。 でもそれは、他の「見えている人」が語ればいい。

そうして、いろんな立場にいる人が、「自分の場所から見える風景」を語っていった先に、この社会についての「より大きな図を描くこと」ができるのではなかろうか。
そしてそれは、いろいろな立場の人が発信しているネット上にこそ、可能性があるのではなかろうか。
ブログやTwitterといったSNSは、「普通に生活していたら、まず会う機会がなかった人」と出会える場所だ。地理的に離れた場所に住んでいる人や、年齢・所属する階層が異なる人々に。

実際のところ、今の日本社会は本当に複雑で、不透明で、真面目に向き合えば向き合うほど、「何が正しいのかよくわからない」状態に陥ってしまう。
そういう状況だからこそ、いろんな立場の人が発信して、それらの意見を総合しつつ、かつ専門家の知見も取り入れながら、できるだけ「大きな全体像」を描こうとするのは、無意味ではないはずだ。

現在の日本では、社会のあらゆる側面で、対立が先鋭化している。でもその対立の多くは、「思想と思想がぶつかりあっている」のとはちょっと違うように感じる。そうではなく、「フェミvs.アンチフェミ」「右翼vs.アンチ右翼」「左翼vs.アンチ左翼」みたいな、「アンチの論理」で動いているように見える。

この不毛な対立を乗り越えるためには、双方が共同で「より大きな全体像」を描くことが必要とされているのではないだろうか。より多くの人が、納得して受け入れられるような「全体像」を創りあげること。
私たち皆が、今の日本社会について、あるいは世界について、「より大きな絵」を受け入れることでしか、この対立を乗り越えられないのではないか。

そう考えると、文章を書くのが得意ではない人でも発言しやすいTwitterって、結構いいツールなんじゃないかって思う。繫がりがゆるく、距離が近すぎないのもいい。ネット上でもリアルでも、対人関係の「距離が近すぎる」のは、かえって息苦しいから。
他の人との些細な意見の違いに苛立つのではなく、「そういう考え方もあるのか」って受け止めて、「より大きな全体像」の中に、その意見を位置づければいい。
そう、だから、私はわりと、ネット上で発言することをポジティブに捉えているんだよね。

そのためにはもちろん、他の人に伝わるような表現力を身につけた方がいいに決まってるし、ある程度の勉強も必要になってくるでしょう。
勉強って、私は子どもの頃から大嫌いだったし、今も難しい本を読むのは決して得意ではない。 でもね、最近つくづく感じるんですよ。自分のための勉強って、案外楽しいものなんだなって。

フリーターにはフリーターの、ひきこもりにはひきこもりの、病人には病人の「自分にしか見えない風景」があって、それを言葉にすることには、意味があるんだと思う。
自分の今いる場所から、自分に見えている景色を語ること。それを人に伝えること。

かつて、ウーマンリブの先駆者である田中三津は「わかってもらおうと思うは乞食の心」(『いのちの女たちへ』)という名言を残した。

そして今の私は、「わかってもらえないのは希望」をモットーに、言葉を紡いでいきたい。
自分の意見を他の人に「わかってもらえない」ということは、私が誰かのコピーなんかではなく、オリジナルな存在だという証明になるのだから。

だから皆さんも、「わかってもらえないのは希望」を合い言葉に、ちょっとずつでも勉強しながら、「言いたいことは言っておく」運動に参加しませんか?
そうすることによって、今の日本社会について「より大きな全体像を描く」という、壮大な思想的・文化的運動に参画していることになるのです!


・・・とまあ、ダメダメ教祖なりに、ヘタレアジテーションをしてみました。

最後に、國分功一郎『哲学の先生と人生の話をしよう』に登場する、ドイツ語学者・関口存男先生のお言葉をもって、このエントリの締めといたします。

「世間が面白くない時は勉強に限る。失業の救済はどうするか知らないが個人の救済は勉強だ」







| ●月ノヒカリ● | その他雑文 | comments(4) | trackbacks(0) |
2014.09.03 Wednesday 23:36
前回のエントリまでの流れで、いろいろと難しいことをゴチャゴチャ考えてたら、アタマの中が煮詰まってきたので、超どうでもいい話をします。

大まかな内容としては、「美しく完成された作品よりも、出来損ないの未完成作品の方が、実は価値があるのではないか?」という話。
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| ●月ノヒカリ● | 801・BL・JUNE | comments(2) | trackbacks(0) |
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