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2015.07.28 Tuesday 23:55
去る7月16日に、安全保障関連法案が衆議院で可決されましたね。現在、参議院で審議中、みたいです。
どうやら日本が「集団的自衛権」を行使できるようにする法案らしいです。

「らしい」とか何とか曖昧な書き方をするのは、正直に言って私は、今の状況について「何かマズいことが起こってるらしいけど、何がマズいのかいまいちピンと来ない」と感じてるからで。

私はもともと政治にたいして興味はない、二次元の世界を愛するオタクです。
でも、民主主義の国に住んでいて「主権者」ってことになっているのだから、最低限の政治参加はしなきゃいけないのかな、という義務感は持っているという、その程度の人間です。

だから今の状況に「怒り」を感じている人には、これから私が書くことはトンチンカンに見えるかもしれない、ということはあらかじめお断りしておきます。
これから書くことは、私なりに「わからなかった」問題点を理解するために、議論に「補助線」を入れて、交通整理をしようってことです。

   *   *   *   *   *

ここしばらく私は、安全保障関連法案に反対する側の意見をたくさん目にしてきたんだけど、今ひとつわかりづらいのは、二つの異なる論点がごっちゃになってるからではないか? と感じたのだった。

一つめは、「日本が集団的自衛権を行使できるようにするべきか否か」という論点。
もう一つは、「この法案(または集団的自衛権の行使)は憲法違反じゃないか」という論点。

この二つは、分けて考えた方がいいと思う。

前者は「国際政治学」の視点から出された問い、後者は「法学」の視点から出された問いである――と区別することができるのではないか。
この二種類のレイヤーが異なる視点について、それぞれを分けて考えてみたら、もう少し話がわかりやすくなるのではないか。

   *   *   *   *   *

まず一つめの、「日本が集団的自衛権を行使できるようにするべきか否か」という問いについて。

安全保障関連法案を「戦争法案」と呼んで反対している人達は、おそらく「集団的自衛権の行使を認めること」自体に反対しているのだろう。
でも私は、「戦争法案」のような「わかりやすいスローガン」には、違和感がある。だって私たちの多くは、「戦争したい」わけじゃないはずだから。平和がいいに決まってる。平和のために、「集団的自衛権」が必要か否か。それが知りたいんだ。

そもそも、どういう背景があって、今回の安全保障関連法案が提出されたのか?
これについては、国際政治学者の藤原帰一氏による解説が、一番納得できるものだった。

■集団的安全保障 国内消費用の議論の危うさ(2015年1月8日)
■集団的自衛権の行使 慎重な判断、期待できない(2015年7月21日)

集団的自衛権とは、「自国が攻撃されていなくても、同盟国が攻撃されたときには、同盟国と協力しつつ、武力でもって阻止する権利」のことだ。
ただし、「集団的自衛権」はしばしば濫用されてきた歴史があるということ、その一例として、1968年のチェコスロヴァキア「プラハの春」へのソ連による軍事介入も、「集団的自衛権」を口実としてなされたこと。それについては、以前このブログでちょこっと取り上げたことがある。

私個人としては、「集団的自衛権」を容認すると、泥沼の戦争に引きずり込まれそうで嫌だな、という不安がある。そういう、私が感じているような不安を、藤原帰一氏は「巻き込まれの恐怖」という言葉で表現している。実際、安全保障関連法案を「戦争法案」と呼んで反対している人の主張は、まさに「米国主導の戦争に、日本が巻き込まれる危険」を訴えているようだ。

他方、集団的自衛権の行使容認を主張する側は、「(米国に)置き去りにされる恐怖」があるとのこと。つまり、「日本に何かあったときに、アメリカが守ってくれなくなったら困る(置き去りにされる)」という不安が根底にあるらしい。

同盟国(=アメリカ)の戦争に「巻き込まれる危険」と、同盟国に守ってもらえない「置き去りにされる危険」。
安全保障関連法案の反対派は前者について、推進派は後者について、主に訴えているのではないか。
そう考えると、賛成派と反対派の議論がより見通しやすくなると思う。

しかし、日本と中国の関係がかつてよりも緊張状態にある今、アメリカ側も「日本の問題に巻き込まれたくない」という思いがある、というのが藤原帰一氏の見立てだ。アメリカだって、日本と中国が戦争になったら困るのだ。戦いたくない戦争に巻き込まれることになるから。
つまり、実際には、日本とアメリカ双方に「巻き込まれる危険」と「置き去りにされる危険」両方の危険があるのだ。それら全体を見通した上で、「集団的自衛権を認めるか否か」について考えるべきじゃないか。

   *   *   *   *   *

さて次に、二つめの論点。「法学」の視点からは、この「安全保障関連法案」はどう見えるのか。

多くの憲法学者がこの法案を「違憲である」と判断したことは、大きなニュースになった(参照記事 :安保法案は違憲!?――渦中の憲法学者・長谷部恭男教授に訊く)。

日本が集団的自衛権を行使するのは、憲法に反する。戦後長い間、そう解釈されてきた。それを現内閣は、独自の判断で「合憲である」と解釈して、強行採決してしまったこと。これは、法学者の視点から見ると、「法治国家の土台を揺るがすような大事件」となる、らしいのだ。

権力は濫用される危険がある。そのときたまたま政権の座にいる人たちが、勝手に好き放題やっちゃったら、社会の安定性は失われる。だから、国家権力は、あらかじめつくっておいた「法」によって制限されなければならない。それが「法治国家」というものだ。憲法は、国家権力を縛る最大の鎖でなければならない。それが「立憲主義」の考え方だ。

その憲法を、今の政権は、無視しようとしている。「集団的自衛権」は従来「違憲」とされてきたのに、その行使を認める法案(安全保障関連法案)が、国会を通過しようとしている。
「国家権力は、法によって縛られるべき」という法治国家の理念が、目に見えないところで壊されつつあるという危機感。この危機感は、「集団的自衛権」に賛成するか否かに関わらず、もう少し皆に共有されてもいいんじゃないか。

つまり、もし集団的自衛権の行使を認める法案を成立させたいなら、まず憲法を改正するのが筋なのだ。
だからこそ、改憲派の憲法学者・小林節氏も、この安全保障関連法案については、猛烈な勢いで批判しているのだ(参照URL→http://www.asahi.com/articles/ASH6H73D9H6HUTFK024.html)。

   *   *   *   *   *

ここまでの話をまとめると。
国際政治学の視点から、なぜ今「集団的自衛権」を認める法案が提出されたのか、という問いについて。
法学の視点から、「憲法違反」と言われている法案を、国会で成立させることが「危険」なのはなぜか、という問いについて。
それぞれ、自分なりに見つけた答えを書いてみた。繰り返しになるけど、この二つは分けて考えた方がいいと思う。

集団的自衛権の行使を認めるべきか否か、そのために憲法はどうあるべきか。それについては、ここを読んでくださっている皆さんにも、ぜひ考えてほしいと思うし、私自身も考え続けたい。今後の課題として。

私が政治的な問題について、「自分の意見を強く主張する」ような書き方をしないのは、私のように迷っている人たちに、「一緒に考えてほしい」と願っているから、なんだけど。

   *   *   *   *   *

最後に、私が望んでいるおおまかな方向性について、書いておく。

日本国内における「集団的自衛権」についての議論は、どうやら世界のスタンダードからはズレているらしい。それは認めよう。日本には憲法9条があるからだ。

でもじゃあ、自衛隊を正式に「軍隊」にして、集団的自衛権を行使できるようにして、世界のスタンダードに近づくことが、「普通の国」になることが、果たしていいことなのだろうか? それは日本の国益に適うのだろうか?

私はそれ、ちょっと疑問に思っている。

というのも、以前このブログで取り上げた、伊勢崎賢治氏の『国際貢献のウソ』に、こんなことが書いてあったからだ。
「自衛隊を『自衛軍』にして、集団的自衛権を行使できるようにするのではなく、憲法9条を持つ日本ならではの国際貢献をしませんか」と。
これ、すごくクールかつ魅力的な提案だと思うんだよね。

どうも今回の安全保障関連法案についての議論は、賛成・反対に関わらず、「日本が戦争に巻き込まれる」とか、「日本が守ってもらえなくなる」とか、日本の心配しかしていないみたいで、それが私には、少しばかり残念だった。
私たちは、「日本の平和」だけを考えるのではなく、「世界の平和のために、日本に何ができるのか」ということも、ちょっとは考えてもいいんじゃないか?

伊勢崎賢治氏は、昨年出版された『日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門』という本の中でも、「憲法9条を武器に世界と交渉し、非武装自衛隊が国連軍事監視団の任務を行う」という、日本にしかできない国際貢献のカタチを示してくれている。世界各地で紛争処理に当った経験をもつ伊勢崎氏ならではの、安倍政権が主張するのとは別の形の「積極的平和主義」の提案だ。
日本に憲法9条があること、「戦争をしない国」というイメージを世界に発信していること、それ自体が日本にとって、何より大きな武器になる、ということだ。

私自身は、ガチガチの護憲派ではない、つもりだ。
けど、少しずつ憲法について知るにつれ、「今の日本国憲法って、なかなか、いいんじゃないか」と思うようになったのも事実で。

日本国憲法前文には、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」という一節がある。
その憲法の精神に則って、私たちは、日本の国益だけではなく、「世界益」つまり「世界の平和のために、日本に何ができるか」ってことも、もう少し考えてみてもいいんじゃないか。

――というのが、不完全ながら、今の私に見えているものと、自分なりのスタンスです。

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| ●月ノヒカリ● | 社会 | comments(10) | trackbacks(0) |
2015.07.06 Monday 00:03
先々月から懸案事項だったオフ会についてです。

今年の秋、できれば10月、無理なら11月に、名古屋で「お気に入りの本を紹介し合うオフ会」をやりたいと思ってます。

ぼんやり考えてるタイムスケジュールとしては、
午後1時〜1時半くらいに、名古屋市内のどこかに集合。
「本を紹介し合う会」をやる。
その後、夕方くらいから、希望者は一緒にご飯食べにいきましょう、ってことで。

オフ会は、土日あるいは祝日に開催する予定ですが、会場の都合でもしかしたら平日になるかもしれません。
というか、まだ会場が決まってないのですが……いくつか心当たりはあるものの、人数その他の条件によって、どうなるかわからないのです。

というわけで、今回は、オフ会に参加を希望される方に質問です。

☆10月か11月で、都合のいい日、悪い日があれば教えてください。
☆夜、皆でご飯食べにいくとしたら、何がいいですか?(手羽先とか、味噌カツとか、味噌煮込みうどんとか?)


回答していただくのは、コメント欄でも拍手コメントでも構いませんが、ハンドルネームを明記していただけると有り難いです。
全員の希望に添うのは難しいでしょうが、皆さんのご意見を参考に、最終的な予定を組みたいと考えています。

あと、いくつか気になってることを。

◆人数は、3〜6名くらいがいいかな、と思ってます。まあそんなに大勢は集まらないでしょうが、自分を含めて3名以上集まったら、オフ会決行します。

◆持ち寄る本は、小説でも漫画でも写真集でも画集でも雑誌でも、本なら何でもOKです。おそらく1冊だけでは時間が余ると思うので、複数冊ご用意いただければ、なお良いかと。

◆たぶん大丈夫だとは思いますが、万が一、オフ会当日にブログ主が急病でドタキャンになってしまったら……という懸念があります。遠方から来られる方で、チケットを前もって予約されていた場合、キャンセル料がかかっちゃうかもしれないですが、ブログ主としては、土下座してお詫びする以外何もできません。もしそうなったら本当に申し訳ないのですが、ご了承くださいませ。

◆オフ会中は禁煙で。あと、参加者の写真撮影は禁止ってことで、よろしくお願いします。

◆夜、場合によっては「お酒を飲む場所」に行くことになるかもしれませんが、お酒を飲む・飲まないは自由です。私自身、お酒が飲めない人なので。

◆「スカイプはどうか」という提案もあったのですが……実は私、スカイプはPCにインストールして、ヘッドマイクも用意したものの、うまく繋がらなかったのです。PCが古いせいでしょうか。そんなわけで、スカイプは当分無理っぽいです。

とりあえずこんな感じで、皆さんのご意見を伺った上で、最終的なスケジュールを決定したいと思います。
参加を希望される方は、ハンドルネーム明記の上で、コメントいただければ幸いです(参加表明だけでもOKです)。

それでは、よろしくお願いします!






| ●月ノヒカリ● | オフ会などの参加者募集 | comments(13) | trackbacks(0) |
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